二部一章三話
「香弥。用件は僕にケンカを売ることではないだろう?」
ようやく彼――
「義理とは言え家族に言っておかないと気が済まないことは山ほどあるのよ」
ため息混じりに言ってやると、紘知の青い目がほんの少しだけキラリと光った。未来予知を使ったのだ。
「……今の研究の正体と、どうしてミュズィースを連れてこいと言ったのか説明しろ、か。どちらも一つのことで説明できる。『宇宙の端から侵略者がやって来るから、迎撃に必要』なんだ。ミュズィースは、避難させるべき人間だったと言えばいいかな」
そう言って、机の上の適当な紙を一つ掴んで、絵を描いた。こういう奴だ、と言って描き上げた絵を、香弥に見せる。
「……趣味の悪いメタボ針鼠を迎え撃つのに、アンタが必要なの?」
通常の針鼠と比べて、数倍に膨れ上がった楕円形の肉体に、針はグネグネと曲がっており、先端は人の手の形をしている。悪夢に出てくるのにはピッタリだ。だが、こういう手合いは
「僕がいないと迎撃できない。コイツの逃げ足はピカ一でね。僕が出るのが一番確実なんだ。まぁそれだけなら代役を立てたんだが、コイツの通り道になった惑星は死の
「アンタの力で確実に、素早く片付けるってわけね。それなのにひと月半もかかってるの?」
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