第47話 薄氷を踏む様に

「・・・分かりました。でも、私の拙い力では、下位の悪魔にも及びません。どうすればよろしいでしょうか?」


「貴方に、神威の解放を許します。眷属として、神意を示しなさい」


力とかが2倍になったり・・・3倍になったりするのだろうか。

100倍になっても難しそうだけど・・・でも、やるしかない。


「我が眷属、天智龍晴よ、我が神威を纏い、神意を示せ」


ちょ、元の名っ。

アテナから力が流れ込む。


〈次は私だな〉


・・・オーディン?


〈大神アテナが眷属、天智龍晴よ、我が神威を纏い、神意を示せ〉


ゴウッ


更なる力が沸き起こる。

何で俺に?!


〈リパーは事情を知らんからな。巻き込む訳にはいかん〉


・・・それもそう・・・か?


〈天智龍晴よ、貴方に力を〉


アルテミスの声。

更に力が湧き起こる・・・これエイプリルと分担したら良いのでは?


「後は、俺だな」


トールが俺の方を向き、言う。

待て。


「トール様、御身の眷属エイプリルは、其処に居る・・・」


「俺は難しい事は分からねえからな」


そっかあ。


ゴウッ


これで4神分の神威が・・・

少しは対抗出来るようになったのだろうか。

少し強化されただけでは、薄氷を踏む様に返り討ちにあうと思うのだけど。

ギルドカードを開き・・・


閉じる。

・・・さて、どうしたものか。

諦めて、再度ギルドカードを開く。


名前:オーディン

種族:人間

職業:ファイター

レベル:194/500

ランク:2

クラン:ふぁんしい

スキル:

 なし

神威:

 アテナ

  イージス

   常時

    ・色々無効化する。

   特殊

    ・不壊不動の盾を展開する。

     大きな盾を展開する程、

     敵の魔力を大きく消耗させる。

  ニケ

   常時

    ・行動の結果判定に+50%の

     ボーナスを得る。

     この効果は重複する。

   特殊

    ・不壊の杖を創り出す。

 オーディン

  グングニル

   常時

    ・行動の結果判定に+50%の

     ボーナスを得る。

     この効果は重複する。

   特殊

    ・不壊の槍を創り出す。

    ・槍で突いた場合、貫く。

    ・槍を投げた場合、貫く。

    ・対象が複数の場合、全て貫く。

    ・貫いた場合、死、または、

     行動不能を付与出来る。

  フリズスキャルヴ

   特殊

    ・近い未来を予知できる。

    ・付近の、

     森羅万象を識る事が出来る。

 トール

  ミョルニル

   特殊

    ・任意の威力の雷を放つ。

  メギンギョルズ

   特殊

    ・自分のステータスを、

     任意の値に変更できる。

     ただし、

     本来の力との差が大きい程、

     敵は酷い筋肉痛になる。

 アルテミス

  三日月の弓

   特殊

    ・矢を射ると、刺さる。

    ・対象が複数の場合、

     全て刺さる。

    ・刺さった者に、死を付与する。

  月夜の庭園

   特殊

    ・周囲の法則を歪める。

     例えば、空中を歩ける。

備考:

 アテナの眷属

  ・鑑定や読心の対象になりにくい。

   一部例外有り。

  ・鑑定や読心を無効化する。

   無効化した際に不審に思われない。

   一部例外有り。


最高神、という存在を甘く見ていた。

とりあえず、順番に突っ込もうか。


イージス。

よく、曖昧な表現で実際には何も出来ない事は多いが・・・これは逆だろう。

普通、異能力と異能力の戦いは、如何に例外を突くか、にかかっているが・・・これでは例外も何も無い。

解釈の余地なく、全てを防ぐのだろう。

後、盾の代償。

これもおかしい。

代償を敵に負わせてどうする。

敵は泣きっ面に蜂だろう。


ニケ。

これは常時能力がおかしい。

成功率0%の行為が、半分の確率で成功する事になる。

異常だ。


グングニル。

常時能力、ニケと混ぜちゃ駄目だ。

御丁寧に、この効果は重複する、じゃない。

何しても100%成功する。

特殊の方も強い。

防ぐことも躱すことも出来ない、と言う事だろう。

そして、それに付随した状態付与。

死はともかく、行動不能に出来るのは便利だ。


フリズスキャルヴ。

敵の攻撃を躱したり、動きを読んで攻撃を当てたり・・・

強いけど、どうせ攻撃は防げるし、必ず当たる攻撃できるから・・・どうなのだろう。

でも強い。

森羅万象を識る・・・隠れた敵とかも見つけられるのだろう。


ミョルニル。

簡潔な内容だけど・・・任意の威力って何だよ。

痺れさせる程度から、世界を破壊する威力まで、自由自在って事か。


メギンギョルズ。

ステータスを数倍、とかそんなレベルじゃない。

任意の値って、強すぎる。

そして、やはり代償がおかしい。

何で敵が筋肉痛になってるんだ。

自分じゃ無いのか。


三日月の弓。

絶対に使っちゃいけないシリーズ。


月夜の庭園。

良く分からないけど、空を飛べるらしい。

なんか、チートとかそんなレベルの話じゃない内容が書いてある気がするけど。


うん・・・やり過ぎ。

俺がこの世界に転生する前に選んでいたスキル・・・そのスキルの中にも、ここまで破格な能力は無かった。

1つでもあれば、主人公として無双できる・・・そんな能力ばかりだ。


「どうですか?もし戦力に不安があるなら、もっと力を分け与えますが」


アテナが心配そうに聞いてくる。

いや、心の中のツッコミ、どうせ聞いてたよね?

口元を手で隠してるけど、多分笑いを堪えてますよね。


「いえ、過ぎた力を賜りました。この度は、神意を示し、この世界を解放致します」


文字通り過ぎた力だよ。

・・・行ってくるか。

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