第45話 絶望と希望

悪魔によるクラン襲撃。

神々は抵抗虚しく捕らえられ、地下施設に軟禁。

クラン所属者に対し、服従を要求。

断る自由を与えつつも、主神が心配で従う者が大半。


一方で、賭博場、闘技場、ドラッグカフェ・・・悪魔が提供する施設に、骨抜きになる人間もいた。


神々は神界に対し、再度救援を要請するが、色良い返事は無い。

現地勢力で解決せよ、と。


「アテナ様、手を出さなくて良いのですか?」


俺が、アテナに問いかける。

俺とエイプリルは、アテナ達に呼ばれて、最高神のお茶会に混じっていた。

アテナ達がカジノの話題で盛り上がっている。

ちなみに、最高神のクランは、攻めようという気が起きないようにしてあるらしい。


口を開いたのはオーディンだ。


「構わん。どうせ半年や1年、数年もすれば飽きてどこかに行くし、なるべく被害を残さないように気をつけておる・・・まあ、やり過ぎれば流石に天界が強行処理に出るからな。その対策だろう。神々は軟禁で済ませているし、なるべくロストもしないようにしているようだ。むしろ悪魔側に出ている被害の方が大きいくらいだからな・・・人間同士は、微妙に人間関係が崩れる箇所も出てくるだろうが」


・・・誓約のギアスロールとかやってたけど良いのかなあ。

別の神が口を開く。


「それにぃ、今は新しい文化が広がっているしね。これはこれでいい刺激になると思うんだよねぇ」


カジノや闘技場だろう。


「多分、出て行くときには、低級神や人間に華を持たせるようなシナリオを描いていると思うので、今は今と楽しんでおけば良いですよ」


アテナが言う。

まあ、そういうもんかなあ。


「何か、私達が手を打った方がいい理由が、有りますか?」


アルテミスが尋ねる。


「・・・ないと思います」


エイプリルが答える。

エイプリルとしては、早めに解決して欲しいのが本音なようだが・・・レベル上げにも支障が出ているし。

さて・・・どうしたものか。

俺としても、出来れば悪魔の陰はちらついていない方が楽しい訳で。


「手を打った方が良い理由、ならありますけどね」


ぽそ、と俺が呟く。


「ほう、言ってみるがいい」


トールが面白そうに言う。


「確かに、半年か、1年か、数年か・・・飽きたら出て行くのは確かなのでしょう。その場合、低級神達や人間達に華を持たせる・・・この世界にとっていい刺激になるのは確かかとは思います」


堕落させ、奮起を促し、成長させる者、か。


「つまり、放置した方が良い、という事か?」


オーディンが尋ねる。


「いえ・・・確かに、時間でも解決しますが・・・最高神の名において捕縛すれば、悪魔を罪人に出来ます」


「確かに、最高神が動き、その結果捕らえられれば、罪人の扱いとなります。それをする理由は何ですか?」


アテナが尋ねる。


「罪人となれば、労役を課せます。ドラッグカフェはともかく、遊技場や闘技場、芸術品・・・彼らが産み出す物の価値は小さくない。節度を保った上でそれらを運営する労務を課せば、この世界に大いに役立つでしょう・・・正直に申し上げますと、この世界には娯楽が少ないのです」


立場をわきまえない発言だとは思うが・・・散々頭の中覗かれているみたいだし、今更だろう。

というか、今此処で考えた内容でもないので、既に知っている筈ではあるけど。


「成る程、確かにそれを聞けば、我々が動く価値があるかも知れんな」


オーディンが頷く。


「世界に通達しましょう、神界より、最高の援軍を送る、と」


アテナが言う。

アテナ、オーディン、トール、アルテミスが動く。

文字通り最大級の援軍。

他にも名乗りはされていないが、恐らく有名な神々が此処にはいるのだろうけど。

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