第30話 魔力溜り
「先の方の魔力が淀んでいるわ。良くない事があるかも、引き返す?」
「そうだな、無理はしない方が」
エイプリルの提案に俺が頷くと、
「強めの敵なら挑戦してみたいかな」
ジリアンが言う。
キミ、最初は凄く慎重だったよね?
後、女の子優先で色々気を使ってたよね?
「私は、危険は避けたいです」
リパーが言う。
「えっと・・・3対1だから・・・3と1で大きい方は・・・?」
「それは本気なのか?!」
ジリアンの発言に、思わず叫ぶ。
「いや、冗談だよ。流石に1桁の比較は出来る」
ちゃんと何桁でも比較はできて欲しい。
「そう言えば聞いた話なんだけどね・・・ダンジョンにはレアモンスターが時々出て、強いけど・・・レア装備等をドロップするらしい。どう、興味無いかな?」
ジリアンがにやり、と笑う。
「安全が優先かな」
俺が言い、
「危険だわ?」
エイプリルが否定し、
「怖いです」
リパーが言う。
「いや、こう、未知の体験ってわくわくしないか?!」
ジリアンが主張するが、
「悪いな、俺とエイプリルは最近大変な目にあったので、自粛中なんだ」
死んだらセーブポイントに復活するだけ、なら好きにやるんだけどな。
こんな所で全滅したら、ロスト不可避だ。
「うう・・・羨ましい・・・」
悔しそうに呻くジリアン。
「そうよ。私とオーディンは最近らぶらぶのデートして、共に何夜も明かしたの。だからドキドキはしばらく不要だわ?」
「く・・・?!」
エイプリルの淡々とした冗談に、何故かさっき以上に悔しそうに言うジリアン。
「デート?!良いなあ・・・オーディンさん、私も!」
リパーが抱きついてくる。
「良いよ」
人数が少ない方が弱い所でも経験値が入る。
レベル上げしたいのだろうな。
明日なら多分用事は無かったはず。
「・・・有難う御座います!」
ジリアンがとてっと寄ってきて、
「あ、僕も!」
「明日リパー、明後日ジリアンかなあ」
エイプリル、リパーはマップスキルがあるけど、ジリアンとのペアだと探索スキルが無いのが痛い。
前衛二人でボコり、回復や各種バフも使える・・・戦力的には悪くないのだけど。
ジリアンはもう先に進む気は無くなったようだ。
エイプリルはここまで計算して言ったのだろうか。
「じゃあ、そろそろ正規ルートに戻り、地上に戻ろうか」
ジリアンが思い出さない内に。
「そうね」
エイプリルが言う。
「あれ、何か忘れているような?」
ジリアンが言う。
「良かった・・・本当に良かった・・・怖くて泣きそうでした・・・これで無事帰れるって思うとホッとします・・・」
リパーが言う。
若干フラグ建ててる気がするのでやめるように。
「これで、帰り道にも魔力溜まりがあったら笑えないですよね」
リパー、キミはひょっとして危険な目にあいたいのかい?
「・・・急いだ方が良さそうね。前方から、嫌な魔力を感じるわ」
エイプリルが言う。
ほら。
フラグ建てるから。
正規ルートまでまだ距離が有るのに、怪しい魔力溜まり・・・が有るらしい。
「俺とジリアンが先行、出現したボスの隙をついて、リパーとエイプリルは横を抜けて正規ルートに走ってくれ」
俺が指示を出す。
「はい、分かりました!」
リパーが応える。
「体力に自信無いわ?」
「ジリアンと一緒に特訓しているし、強化魔法も有るだろ」
エイプリルのボケ?にツッコミを入れる。
「その後は僕が足止めする。オーディン、君の時間を稼ぐよ」
「その台詞は駄目だ。一緒に逃げるからな?」
ジリアンにツッコミを入れる。
「私も足止めするわ・・・ただ、別に倒してしまっても良いのでしょう?」
「エイプリル格好いい!」
エイプリルのボケに、ジリアンが感動する。
「色々な意味でやめろ」
ツッコミきれん。
「まあ真面目な話、全力逃走だけを考えるのは良くないわ?場合によっては牽制しながら確実に後退した方が良いかもしれないし、逃走経路に新手が湧く可能性もある。私の足は遅いけど、チャージした魔法や無詠唱魔法があるから、足止めは結構向いてるわよ」
エイプリルが言う。
「・・・それは確かに」
「とりあえず冷静になる事が大切ね。心の準備と、バフがかけ終わったら、オーディンとジリアンが先陣を切って・・・良い?」
エイプリルの指示に、
「分かった」
俺が肯定する。
「防御バフは任せて」
ジリアンが言う。
「逃げ撃ちで牽制します!」
リパーが言う。
ジリアンが防御バフ、エイプリルが身体能力強化バフを使い・・・
「行くぞ!」
俺とジリアンで魔力溜りに突っ込む。
**********
2018/04/29
「いや、こう、未知の体験ってわくわくしないか?!」をリパーが言った事になっていたので、ジリアンに修正。
ご指摘有難う御座います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます