【81万PV】冒険者になろう - 転生特典をスキップされてチートなしで転生させられたので色々諦めました -
赤里キツネ
規約に同意したら破棄出来ません
第1話 鬼畜女神様
朝ちゅん。
外では、鳥のさえずりが聞こえる。
俺はただ、目の前のスマホを眺め・・・見たくもない外を見・・・徹夜した事に気付く。
仕方なくアプリを閉じ、出社の支度を始める。
まさか徹夜してしまうとは・・・眠気と戦いながら仕事をすると考えると憂鬱だ。
既に年齢は30を過ぎた。
徹夜明けの仕事は、非常に気が重い。
有給は余っているし、急ぎの仕事もないので休みの連絡を入れても良いのだが・・・面倒だが仕事に向かう。
やはり仕事中は眠かった。
それでも何とか帰宅。
食事は駅の立ち食いそば屋で済ませてきた。
再びアプリをタップすると・・・朝と同じ画面が出る。
普通タイトルに戻って、利用規約に同意する所から始まるのだが・・・珍しい。
冒険者になろう
それが、昨日アプリに表示されていたタイトルだ。
別に、リリースされたとこ、という訳でもないし、話題になっている訳でもない。
たまたま、アプリストアのおすすめに表示されていて、内容が気になったのだ。
レビュー者は0。
今は、キャラのエディット画面だ。
名前、外見、種族、初期職業、スキル・・・この内、スキルというのがかなり細かく設定できるらしく・・・20000ポイントものポイントから、これでゲーム成り立つのか、という程のチートスキル含むスキル群から選ぶ。
これらの情報は、職業以外はゲーム内で変更不可らしい。
もっとも、時間の半分は、初期職業までの情報を決めるのに使ったのだけど。
画面右下には、
さくっと決めちゃってね~
と吹き出しが出ている女神様が映っている・・・
あれ・・・女神様のグラフィックが変わっている気がする。
スキルの詳細を見ては閉じる、を繰り返す。
そんな事を3時間程繰り返し・・・そろそろ寝ようかなと考える。
アプリを閉じ・・・
「こら」
アプリからにゅーっと女神様が出てくる?!
「さっさと決めて頂けませんか?困るんですよ。規約に同意されてから、ここまで悩む人初めてです」
「えっと・・・?スマホから・・・人・・・が・・・?」
「人ではないですよ。一応女神です」
頬を膨らませる女神様。
「・・・これは神が作ったアプリ・・・的な・・・?」
「そうですよ~。利用規約でちゃんと、この世界での命を失う事とか色々書いてあったでしょ?」
見てない。
「だからこそ、こんなにたくさんチートスキルを選べるんですよ?どれを選んでもかなり強いので、フィーリングでさくっと決めちゃって下さい」
「えっと・・・これを決めるまで大丈夫なのなら、ここでアプリを閉じて置いておきたいのですが」
「それは困りますね。一度同意した以上・・・と言うか、ここまで話を聞いた以上、ここで止められると困ります」
勝手に話したくせに。
話題を逸らそう。
「女神様、最初の女神様と別の女神様ですか?」
「そうですよー。貴方があまりにも長引くせいで、元の担当者は別の人の処理に移ってしまったのです。たまたま手が空いてた私が、貴方を引き受けた感じですね。私もこの後行くところがあるので、さくっと決めて下さい」
むう・・・逸れなかった。
「とりあえず」
アプリを閉じる。
「寝ます」
「こら、駄目ですって!」
本気で困ったように、体を揺する女神様。
そう言われもまだ死ぬわけには・・・
「・・・仕方がないですねえ・・・」
そっと女神はスマホを手に取ると・・・あっ。
「スキル選ばずにスタートで」
「ちょ、鬼ですか?!」
意識が遠のいていく・・・
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