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「いつも口だけだし、ちゃんとアンタの事幸せにしてくれているのか私はそれが心配なの」

「もぉ、私はそう言ってくれるだけで幸せだよぉ」

「それだけじゃだめなのぉ」

 おやおや、いつの間にかお友達はかなり酔っている様子。焦点の定まらない目で彼女を見つめて言った。

「アンタはちゃんと幸せなのぉ?」

「幸せだよ」

「意味もなく殴られたりしてない? 傷ついてない?」

「今まで一度だって手をあげられたことはないし、彼は絶対殴ったりしないよ」

「心は? 心は傷ついてない?」

 眉尻がグンと下がった不安そうな顔で問いかける。彼女は一瞬にして笑顔を作って頷いた。

「傷ついてないよ、幸せだよ」

「それなら、よしっ」

 今度はオーバーに何度も頷く友達を見て彼女は微笑み返し、それから小さく呟いた。おそらく友達には聞こえていない。けれど、はっきりと俺には聞こえた。

『彼の事を分かるのは、私しかいないから』

 あぁなるほど。その心があるからこそ、彼女は彼と共にいられるのだろう。ダメな彼氏だと言われても、彼女だけはその隣に居続けられるのだろう。彼の心が分かる、彼女なら。

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