2ページ
「いつも口だけだし、ちゃんとアンタの事幸せにしてくれているのか私はそれが心配なの」
「もぉ、私はそう言ってくれるだけで幸せだよぉ」
「それだけじゃだめなのぉ」
おやおや、いつの間にかお友達はかなり酔っている様子。焦点の定まらない目で彼女を見つめて言った。
「アンタはちゃんと幸せなのぉ?」
「幸せだよ」
「意味もなく殴られたりしてない? 傷ついてない?」
「今まで一度だって手をあげられたことはないし、彼は絶対殴ったりしないよ」
「心は? 心は傷ついてない?」
眉尻がグンと下がった不安そうな顔で問いかける。彼女は一瞬にして笑顔を作って頷いた。
「傷ついてないよ、幸せだよ」
「それなら、よしっ」
今度はオーバーに何度も頷く友達を見て彼女は微笑み返し、それから小さく呟いた。おそらく友達には聞こえていない。けれど、はっきりと俺には聞こえた。
『彼の事を分かるのは、私しかいないから』
あぁなるほど。その心があるからこそ、彼女は彼と共にいられるのだろう。ダメな彼氏だと言われても、彼女だけはその隣に居続けられるのだろう。彼の心が分かる、彼女なら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます