第4話 ニホントカゲの過去と旅日記

 今夜も彼女を見つけられなかった。もしかして、私には人探しの才能がないんだろうか?私が探しているのは命の恩人。昔、私を助けてくれたフレンズを探している。勇敢で、力強く、そして誰よりも親切だった。あの時の自分は臆病で、勇気もなく、根暗な性格で自分自身でさえ信じることができなかった。そんな彼女は、私のことを見捨てなかった。導いてくれた。


 わたしはニホントカゲのアオイ。私を助けてくれたフレンズは今どこにいてなにをしているのだろう?私に進むべき道を示してくれた【師匠】とも言えるべき存在...


 彼女は私を助けた後、すぐにどこかへ行ってしまった。お礼を言う間もなかった。それでも、あの人の姿は忘れていない。忘れられるわけがない!!もしかしたら、パーク内で様々なフレンズたちを助けてあげてるのかもしれない。なんてかっこいいんだろう!


 自分は、一刻も早くあの人を見つけてお礼を言いたい。そんな気持ちで胸がいっぱいだった。そんな時、とあるフレンズと出会った。ケサランパサランのケサランちゃんだ。彼女も旅好きでしばらく私と一緒に旅をしてくれた。あの子は、甘いものが好きで、人との出会いを楽しんでいるかのようだった。



 それでも、私は昔の自分とは違う。

自信を持つことができるようになったし、仲間もできた。



 もし…あなたが困ってるなら、力になりたい。

あの時のお礼も言いたい...


この広大なパークの中であなたを見つけることができるだろうか?


...今夜はいい満月だ。


まるで私を導いてくれてるかのようね...




 私はふと、静かに流れる川を見つけた。昔から私は自然が大好きで、こんな感じの穏やかな川も、夜に道を照らしてくれる満月も私は大好きだ。それだけは今も昔も変わらない。


 そうだ、焦る必要は無い。


 私にはまだ時間がたくさんある。


 この川の水のように穏やかな"ココロ"を持って、彼女を探し続けよう。


 私ならできる。




まだまだ...!




旅は、始まったばかり!












手記


141日目

今日はいい天気!今日こそあの人と出会えそうな気分!

まぁほぼ毎日そんなこと言ってるんだけどね!




 昼頃、ついにホートクエリアに到着!

どんなフレンズがいるのかなぁ?いまからすごく楽しみ!




 夕方、泊まるところがなくて困っていたらラサポ?っていう研究所みたいなところに泊めてもらうことになった!

私以外にも家や泊まる場所のないフレンズを保護してるんだって!




 夜、私のところにイザベラっていう女の人が来た。

なんだろう?と思って扉を開けるとすごく深刻な顔してた。




 イザベラさんは私に聞いた「あなたは誰かを探してたりする?」と。

私は答えた「うん、昔助けてらった師匠をさがしてるの」

イザベラさんは続けて師匠が誰なのかを聞いてきた

私はそれに答えたくはなかった。だってまさか、命の恩人の名前を知らないなんてとてもじゃないが言えやしない。その意思を彼女に伝えたら「そう...無理に聞き出すつもりはないけど...私の記憶が正しければ貴方のお手伝いをすることができる」と言われた


私は妙な焦燥感を覚えた。この人は私一人で探しきれないとでも言いたそうな顔をしていた。私はそれが非常に悔しかった。それに、私は命をかけて守ってくれた相手を探すのに人手を借りたくなかった。人手を借りたら、彼女に呆れられてしまうのではないのだろうか



「君は一人で恩人すら探せないのかい?」と。




 その時、私は昨日の日記の冒頭部分を思い出した。140日目。キリの良い数字。

書いてるときはウキウキしていたが、今となっては焦りを感じる。

___もう140日。



 あっという間だ、それぞれのエリアには大体二週間ぐらいとどまっていたからホートクエリアで大体10個目のエリア。

彼女の姿すら見えなければ情報すら得られない140日間。焦り、自分の不甲斐なさ、それに対する怒り。

様々な感情が飛び交う中、私の体は勝手に動ていた。



「結構です」



一言言って、私は扉を閉めていた。







142日目



 目覚めのほうはあまりよくなかった。泊まった場所の環境が劣悪だとか、そんなことではないけどなんとなく気が重かった。私はラサポの人たちに礼をいって、歩き初めた。




 昼前、近くの公園のベンチに座り込み考え事をした。たぶん、そんなことをしてる場合じゃないと思うけど...なんとなく体が重かった。私は、一生命の恩人に礼を言えないままこの世から消えていくのだろうか?そんな言葉が脳裏によぎる。その瞬間、私は猛烈な吐き気とめまいに襲われた。




 ゴキゴキと嫌な音が耳をつんざき、私は目を覚ました。いつの間にか眠っていたのだろう。辺りはすでに夕暮れだ。

不快な音に目覚めた私はあたりを見回してみる。


 左手の方角。寝る前まであったはずの木々がない。と、いうより…枯れている?

目をこすってよく見てみると、その先にはセルリアンの背中が見えた。

距離は結構離れているようだがそれでもあのセルリアンの大きさは一目瞭然だ。


どうしよう…まだ気づかれてないみたいだし今なら逃げれるかな…?








日記はここで途切れている



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