65~交わり、集う~・おまけスキット

~合流とはじめまして~


シーフォン「何はともあれ、無事合流できて良かったよ」

ガレ「とはいえ、大変でござった。なにせクローテどのがそれがしの尻尾を……」

クローテ「わ、わーっ! バラすなって言っただろう!」

シーフォン「おや、そちらでも何かあったみたいだね」

アングレーズ「そちらでも、って?」

パンキッド「シーフォン」

シーフォン「ははは、気にしないでくれたまえ」

ブオル「そんでそちらは……時の女神様?」

時の女神『ええ。はじめまして、異世界の英雄たち』

モカ「まだ英雄じゃないケドねー」

時の女神『それでも、あなた方は英雄たり得る者たちです。今現在こうしてここに集っているのですから』

カカオ「あんまガラじゃねーけどな」

メリーゼ「そうね。カカオ君は早く帰って修行の続きがしたいだけだものね」

カカオ「オレの本分は職人だからな」

パンキッド「忘れてた」

クローテ「そういえばそうだったな」

カカオ「パンキッドはともかくお前は忘れんなよ! 付き合い長いだろ!?」

メリーゼ「うふふふ」

時の女神『賑やかで楽しい人たち……』

ランシッド『君もその一員になるんだよ』

時の女神『私が……? ですが、』

ランシッド『そういうものなの』

時の女神『そういうもの……ですか?』



~時空を司るものたち~


ランシッド『時の女神……異世界の、時空を司る者……』

時の女神『貴方とだいたいできることは同じですね』

ランシッド『なんか不思議な感じだな』

時の女神『私からすれば、前世が人間でその記憶を持ってる貴方が不思議な存在ですが』

ランシッド『そんなことまで知ってるのか?』

時の女神『テラに囚われている間、アラカルティアの歴史はひととおり覗いていましたから』

ランシッド『あー……』

時の女神『面白く、力強く、元気づけられる物語でした……テラなどに壊させたくないと思えるほどに、尊い』

ランシッド『……そうだね。それはきっと、今までの他の世界もそうだったんだろうけど』

時の女神『ええ』

ランシッド『必ず、終わりにしよう』

時の女神『はい。必ず、この手で』



~フンイキ変わった?~


アングレーズ「ふーん?」

カカオ「な、なんだよ?」

アングレーズ「なんだかカカオ君、雰囲気変わったわね」

モカ「はぐれていたちょっとの間に?」

ガレ「むむ、言われてみればそんな気も」

カカオ「メリーゼと二人で時の女神に会ってたくらいだけど……」

シーフォン「本当にそれだけかい?」

カカオ「へっ?」

シーフォン「そういえばメリーゼも……というか、君たち二人の間に流れる空気が変わったと言っていいだろう」

モカ「なになに? ついに進展?」

カカオ「だぁっ、別に何でもいいだろ!」

ブオル「とは言うが、みんな心配で見守ってたんだ」

アングレーズ「鈍感と天然、職人バカと戦闘マニアじゃあ、ねえ?」

カカオ「…………そんなにアレなのか、オレたち」

クローテ「ノーコメントだ」

パンキッド「同じく」

カカオ「大したことはねえよ……とりあえず、今はまだ」

ブオル「今はまだ、か」

クローテ「だ、そうだ。もう放っておいて大丈夫なんじゃないか?」

アングレーズ「ふふ、そうみたいね」



~女神の怒り~


モカ「あのテラの分身って、女神様と……まあ元の顔はおんなじっぽいケド、いろいろだいぶ違うよね」

シーフォン「こんな美人の顔を借りて、あんな下品に笑うんだからね……悪趣味としか言いようがないよ」

時の女神『正直一刻も早くあの分身を消し去りたいと思います』

ランシッド『……怒ってる、ね』

パンキッド「そりゃ、自分の見た目で悪さする奴なんて許せないよ」

時の女神『それだけではありません! 人の見た目を借りておいて「女神のくせにちょっと地味ねぇ」とか「スタイルも寸胴だし」とか好き勝手言って改造して……なんですかあの品のない姿は!? あればいいというものではありません!』

パンキッド「あればいいって何……?」

モカ「あ、これ地雷だ」

時の女神『絶対に……叩き潰します!』

ランシッド『あ、ああ……』



~遠く、パスティヤージュにて~


ワッフル「さっき話していたのは仲間か」

フィノ「ええ、マンジュのイシェルナさん」

ワッフル「ああ、あのお節介女か……」

フィノ「えっ?」

ワッフル「いや、こっちの話だ。それよりも……」

フィノ「ひとまず凌いだけれど油断をするな、でしょう?」

ワッフル「わかっていたか」

月光の女神『あーたねぇ、この子がどんだけの修羅場潜り抜けてきたと思ってんのよ』

ワッフル「うっ、それもそうだった」

フィノ「こう見えて、経験豊富なんですよ?」

ワッフル「……知ってる」

月光の女神『んじゃ、気を引き締めていきましょ! テラなんかに負けないんだから!』

ワッフル「そこでお前か仕切るのかよ」

フィノ「うふふ」



~カネルとグラッセ~


ミレニア「しかしまあ、カネルは随分グラッセに懐いとるのう」

グラッセ「ただの部下だが……昔、ちょっとした縁があっただけだ」

ミレニア「ぼかさなくとも聞いとるわ。二十年前にこの村を救った正義のヒーロー“おめんマン”のことはのう」

グラッセ「それはやめろと言ってるだろう! というか、おめんじゃなくて仮面だ!」

ミレニア「なんでもいいわい。確かにおぬしはこの村の者たちにとってのヒーローなんじゃから」

グラッセ「…………」

ミレニア「さっきだってカネルの命を救ったのじゃ。懐に後生大事に入れとった仮面が、魔物の攻撃を受け止めてのう」

グラッセ「まだ持っていたのか、まったく」

ミレニア「照れるな照れるな」

グラッセ「やかましい」

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