25~流星、閃く時~・おまけスキット

~魔物化したデュランダル~


クローテ「あの騎士団長が魔物に取り憑かれてしまうなんて……」

ランシッド『冒険の終盤や今の、俺達がよく知るデューは心身共に強いけど、あれはもっと前だからね……魔物のつけいる隙があったのかもしれないよ』

ブオル「それにしても顔まで仮面みたいに覆われてて、一瞬誰だかわからなかったぜ」

ガレ「ある意味好都合ではござったが……」

ランシッド『襲われたカッセには誰だかわからない方が良かっただろうしね』

カカオ「すげえ力だったな……一対一ならまず勝てなかった」

メリーゼ「はい。立て直す暇もなく、やられていたでしょうね」

クローテ「実際、騎士団長とは何度か手合わせして私もメリーゼもまだ一度も勝てていないからな。当時はどうだかわからないが」

ブオル「もうやりあいたくない相手だぜ」

メリーゼ「え、それは、その……」

ランシッド『また手合わせしたいなら現代の“デュー”とだからね、メリーゼ?』

メリーゼ「は、はい」

ランシッド『まったくもう』



~器用な人たち~


カカオ「さっきのメリーゼの技、すごかったなあ」

メリーゼ「過去にいろいろ言われたことを思い出して、自分なりにできることを考えてみたんです」

クローテ「きちんとした魔術は詠唱に時間がかかるが、小さな足場を作るぐらいならメリーゼにはすぐだろうな」

ブオル「なるほど、お嬢ちゃんは器用なんだな」

メリーゼ「いえ、わたしは……クローテ君が前に魔術を応用して全く違う使い方をしていたので、わたしもなにかできないかなって思ったんです」

カカオ「クローテも器用だもんなあ」

クローテ「けど、それを言うならカカオだってそうなんじゃないのか?」

ブオル「たしかに、職人のたまごだしな。なんか器用そうなイメージだ」

ガレ「気功術の習得も早かったでござる!」

カカオ「魔術……は、やったことねえけど、マナの扱いって考えたらいいのか」

ブオル「そうそう」

クローテ「魔術は多くの人がマナを安定して扱いやすいように考え出されたものだが、それに拘らず自分なりのものを編み出してもいい。いちから作るのは、それなりに難しいがな」

カカオ「そっか、なるほど。んじゃ、なんか考えてみるかな」

ガレ「楽しみでござる!」



~歴史は変わらない?~


カカオ「時空干渉は起きちまったけど、概ね結果は変わらなかった……のか?」

ランシッド『そうだね。デューはあの後記憶を消され子供の姿になってミレニアと出会う。変えられた歴史も、多少なら修正する力が働くんだ』

メリーゼ「不思議ですね……」

ブオル「大筋が変わらなきゃ問題ないって、意外とアバウトだよなあ」

ランシッド『変わっちゃいけないポイントもあるけどね。例えば、人の生死とか』

ガレ「そこは修正しようがないでござるからなあ」

ランシッド『とはいえ、なるべく当時のものに関わらないようにね』

メリーゼ「どこに影響があるかわかりませんものね」

カカオ「だな」



~いい女~


カカオ「デューさん、メリーゼのこといい女って……」

デュー「強くて真っ直ぐで、すっと芯が通ってる。おまけに母親に似て美人で、将来が楽しみだよなあ……お前もそう思うだろ?」

カカオ「へ?」

デュー「なんだ、その反応? お前らそういうんじゃねーのか?」

カカオ「そういうの……?」

モカ「パパ、ダメだよ。鈍感と天然が二人揃ってるんだ」

ブオル「今はそれどころじゃなさそうだしな」

アングレーズ「お互い、自分の気持ちにも気付いてなさそうなのよね」

クローテ「幼馴染みとか仲間とか、そういう意識の方が強いですね」

ガレ「自然の成り行きを見守るほかなさそうでござる」

デュー「なるほど、わかった」

カカオ「何の話だ?」

デュー「いまにお前にもわかる時が来るって話だ」

モカ「メリーゼ姉がとびきりいい女ってコトがね!」

カカオ「?」



~厳重にお願い!~


クローテ「過去の騎士団長……デュランダルさんは我々と戦った時の記憶がなくなるのか」

カカオ「本来オレ達は生まれてすらないからな」

ランシッド『そうそう、ちゃんと忘れて貰わないと!』

カカオ「そういや、ブオルのおっさん」

ブオル「なんだ?」

カカオ「戦ってる最中、おっさんの方を見てボソッと『ブオル子さん……?』って言ってたぞあの人」

ブオル「その辺特にしっかり忘れて貰わないと!」

カカオ「すっげえなあ……時空を越えたり魔物化した奴にまで反応されたり」

ブオル「どうしてどこまでもついて回るんだよ、もー!」

クローテ「お、お疲れ様です……」



~ネコだもの~


デュー「お前はすぐにゃーにゃー鳴くよなあ」

ガレ「にゃは、癖でござるゆえ」

デュー「素朴な疑問なんだが、カッセはにゃーって言わないのか? 聞いたことないぞ」

カカオ「言われてみればカッセさん、ほぼ猫だよなあ……」

ガレ「猫ではないでござる!」

デュー「わりぃわりぃ。で、言うのか?」

ガレ「ちちうえは人間の世界に溶け込むため変装しているでござる。ゆえににゃーにゃー言ってたら妙に思われてしまうのでござるよ」

ブオル「普段は布でぐるぐる巻きで、ほとんど顔も見えないもんな」

デュー「なんだ、言わねーのか」

ガレ「咄嗟に出てしまわないように必死に練習したのでござる!」

カカオ「練習……」

デュー「カッセが、にゃーって言わないように練習……」

メリーゼ「か、可愛い……!」

ガレ「な、なにゆえ!?」

デュー「やっぱ猫じゃねーか」

ガレ「猫ではないでござるよ!」

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