4~決意、刃に乗せて~・おまけスキット

~足りない部分は~


メリーゼ「……」

クローテ「メリーゼ?」

メリーゼ「一撃が軽い、とはっきり言われてしまいました……やっぱり、力不足は簡単に見抜かれますね」

クローテ「それは……」

カカオ「なんだ、そんなこと気にしてたのかよ?」

メリーゼ「カカオ君……」

カカオ「そりゃあオレ達は一人一人だと未熟で、大したことないかもしれない。けど一人一人で戦ってる訳じゃないだろ?」

メリーゼ「!」

クローテ「だから連携してあいつを追い詰められたし、とどめに放ったメリーゼの一撃はちゃんと届いた」

ランシッド『力が足りないからマナを乗せて威力を補った、ってことだろ。みんなの連携もそれと同じことをしてるんだよ』

カカオ「そういうこと。一人で気負おうとするの、お前の悪い癖だぞ」

メリーゼ「あ……」

カカオ「それに、あんなすげぇことができるんだ。いつかほんとに強くなれるよ、オレ達は」

クローテ「なってみせよう、メリーゼ。一緒に、強く」

メリーゼ「……はい!」



~複合術~


カカオ「あれが複合術……初めて見た」

クローテ「負担を複数人で分ける形になるから、詠唱速度、術のランクや威力、共に単独でやるより優れた効率的な唱えかたになるんだ」

モカ「ざっくり言うと早い、安い、うまい! みたいな?」

カカオ「……わかったようなわからないような」

メリーゼ「あとは術者それぞれ適性のある属性が違うから、お互いにない属性をあわせて複合術ならではの術が唱えられるんですよ」

カカオ「なんかいいことずくめだなぁ」

クローテ「とはいえ、同時に詠唱に入る訳だからそこは考えないといけない」

カカオ「あー、人手が減るのか」

メリーゼ「一人が術を唱えて残り三人が前衛で詠唱の時間を稼ぐ方がいい場合もあります。そこは臨機応変ですよ」

カカオ「ふーん……」




~技巧派クローテ~


カカオ「魔術の応用で地面に罠を仕掛けるって……クローテ、お前いつの間にあんな技使えるようになったんだよ?」

クローテ「ああ、あれはスタードお祖父様の技だ。私のは風で、お祖父様は火でやっていたがな」

メリーゼ「訓練で何度か見ましたけど、実戦で使ったのは初めてですよね?」

クローテ「なんとかうまくいってくれたけど、まだ練度が足りない……お祖父様のようにはいかないな」

カカオ「回数こなせばもっとすごくなる訳か……」

クローテ「どの術技だってそうだ。使用者の身に馴染めば、より力を引き出せるようになる」

カカオ「そっかあ……オレの技ももっと強くなるかな」

モカ「カカオ兄ちゃんの技ってハンマーぶん回してるだけじゃん」

カカオ「ぶん回してるだけじゃねーよ! ちゃんと動きが決まってるんだからな!」

モカ「ふーん、そうなんだ」

カカオ「よーし、練習を重ねてもっとパワーアップしてやるぞー!」

モカ「……職人になりたいんじゃなかったっけ?」

メリーゼ「何事にも一生懸命というか……」

クローテ「凝り性なんだ、カカオは」



~びっくりどっきりボックス~


メリーゼ「大事そうに背負っていた箱にはあんな秘密があったのね」

モカ「へへーん、すごいでしょ!」

クローテ「まあ、意表は突けたんじゃないのか? 次に通用するかはともかく」

モカ「まさかクロ兄、このびっくりどっきりボックスの秘密がびよよんパンチだけだと思ってる?」

カカオ「びよ……なんだって?」

モカ「びっくりどっきりボックスはまだまだ改良中なんだ。そのうち新機能を追加していくからね」

ランシッド『下にぶら下がってる紐も一本じゃないしねぇ』

モカ「そうそう! いいとこに気付いたね、おじちゃん!」

ランシッド『ってことは少なくともこの紐の数は機能が追加されていく訳か……今後が楽しみだなぁ、これは』

メリーゼ「お父様が興味を示してる……」

カカオ「そういや、モカも子孫になるんだっけか。案外ツボが近いのかも?」

クローテ「り、理解出来ない空間だ……」



~囚われの令嬢~


クローテ「……」

カカオ「どうした?」

クローテ「フローレット王妃が囚われていた部屋……殺風景な洞窟内にソファやクッションが浮いていたなと思って」

モカ「前にフローレットおばちゃんが言ってたけど、見張りの人達が用意してくれたんだってさ」

カカオ「見張りの?」

モカ「『優しくてとてもいい方たちで、わたくしが不自由しないように話し相手になってくれたり、水浴びに付き合ってくれたりしたのよ』って」

カカオ「優しくていい人なら逃がしてくれなかったのかよ……」

モカ「まあ、その見張りの人達も騙されてたらしいから。別の人に頼まれて、フローレットおばちゃんを守ってるつもりだったんだって」

クローテ「逆にあの部屋から出すのは危険だと思っていた訳か」

モカ「まあ何にせよ、見張りの人といいフローレットおばちゃんといい、お人好ししかいなかったよねー」

カカオ「お前、ばっさりだな……」

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