第12話 婚活飲み屋さん!!
~1月某日~
「よし。婚活飲み屋だな! 楽しみだなあ」
高梨先輩はバシッとスーツでキメてきた。
見るからにやる気満々だ。
「混んでますね。少し待ちましょう」
桂が入口の順番待ちの所に名前を書きながら言った。
「なになに、トイレに席替えカードがあってそれでチェンジするんだな」
高梨先輩が婚活飲み屋の説明が書いてある看板を穴があくんじゃないかってぐらい見ている。
~しばらくして~
「3名様どうぞ~こちらになります」
席まで案内してくれる店員さんに身分証を見せて中に入った。
店員に座るように言われた席にいたのはどう見ても僕らの親の世代の女性達だった。
空気読んでくれよ~店員
店員が20代ぐらいのイケメンなのもなんか若干ムカついた。
「帰ろうか」
高梨先輩が後ろを振り返り帰ろうとするが、イケメン店員が帰り道を塞いでいる。
店員は意図的かそれとも気付かずにしてるのか?
「高梨先輩! 楽しみにしてたんでしょ。これからですよ。これから」
桂が高梨先輩をなだめる。
「よし、トイレに」
次は店の奥にあるトイレに行こうとする高梨先輩。
そして、またトイレへの道を塞ぐイケメン店員。
いや、店員絶対わざと道を塞いでるだろ!
「高梨先輩! チェンジは、まだ早いですよ! 流石に失礼ですよ! お話だけでも聞きましょう」
とりあえず、僕も高梨先輩をなんとかなだめる。
「俺は合理的にしたいんだが……仕方ないなあ」
僕達はやっと店員に案内された席に座った。
「はじめまして~!お兄さん達若いわね~嬉しいわあ! 」
母ちゃんAが言った。正面から見るとますます母ちゃんにしか見えない方々…
「とりあえず、乾杯いたしましょう! みなさんグラス持ち上げてかんぱーい」
さっきまで帰ろうとしていたとは思えないぐらい場を盛り上げようとしている高梨先輩。
その露骨な二面性を初めて見て、びっくりした。
「お姉様方は結婚願望とかある? 」
桂はガッツがあるなあ。ストライクゾーンも広いんだなあ。
「バツイチだけど結婚したいなあと思うわね」
「私なんてバツ2よ~」
このお姉様方も婚活で来たんだなあ。
意外だった。
僕は乾杯の時のビールをぐびぐび飲んでいる。
「このトランプで七並べしましょう!」
お店には楽しめるようなパーティゲームなどが置いてある。
~七並べ中~
「1番にあがりよ」
「私は2番よ~」
お姉様方七並べめっちゃ強っ!
僕はまたお代わりしたビールをぐびぐび飲んでいた。
飲み屋に入ってから、もう30分ぐらいになる。
「お兄さん飲みっぷりがいいわね。もう一杯どうぞ~!」
お姉さま方に出されたウォッカを僕は一気に飲んだ。
一杯どうぞって行ったけど、女性は飲み代無料だよな……
「ちょっとトイレに」
高梨先輩が自然にトイレに行った。おそらくチェンジしに行ったな。
~しばらくして~
来た来た。イケメン店員。今回ばかりは君を待っていたよ。
「申し訳ございませんが、男性の方少ないので、次に回っていただきたいのですがよろしいですか?」
店員さんうまいこと言うなあ。
「もうそんな時間? 早いわね~」
母ちゃんCが残念がる。
「ありがとうございました」
僕達はお礼を言い、いそいそと次のテーブルに向かった。
次は若いゆるふわな感じの女の子たちがいた。
「ふあああ。さっきからワシ暇なんですけど……」
権蔵があくびしながら言っている。
「3人1組って決まってるから参加はダメだ」
僕は厳しく権蔵に言った。
規則は絶対なんだぞ! 本当は面倒くさかっただけだけどね。
「はじめまして~乾杯しましょ」
桂が乾杯の音頭を取り、みんなビールが入ったグラスを持つ。
「「かんぱーい! 」」
「ねえねえ。結婚願望ある?」
桂が女性陣に聞いている。
「お主はそればっかり言っておるでないか! 」
権蔵は桂にビシッと言った。桂には聞こえないが!
確かに婚活の場で桂は女性には必ず《結婚願望ある?仕事何してる? 将来は共働きがいいな! 》は必ず言ってる。
「彼氏はいるけど……結婚まではまだ考えてないですね」
「私も~」
女性は驚くべき返答をしてきた。
「彼氏いるの?!」
僕は冷や酒を吹いた。
「無料で飲める所があるから来てみたくて! 」
そんな感覚で来る人もいるんだな。
「ちょっとお化粧直しに行ってきます」
僕らは、普通に化粧直しに行くんだと思っていた。
~しばらくして~
申し訳ございませんが、女性の方あちらの男性がお呼びですがよろしいでしょうか?
「分かりました~」
高梨先輩は力なく返事した
今絶対チェンジされたな……彼氏いるくせにこんなに早くチェンジしやがって……まだ10分も経っていないのに……僕らはがっくりとした。
~しばらくして~
「女性の方3名様入ります。こちらへどうぞ~」
今度は僕と同世代ぐらいの女性達が来たのら。
「乾杯しましょう。かんぱーい」
高梨先輩が乾杯の音頭を取り、みんなそれぞれ自己紹介したのら。
「君達まさか彼氏とかいるんじゃないだろうな?」
さっきの二の舞は嫌だから僕は最初に聞いておくのら。
「いませんよ。婚活中なんですから」
女の子はうまいこと笑って誤魔化したのら。
「すみません。こいつ酔っているようで」
高梨先輩が慌ててフォローする。
「それはよかっ……スー」
たちばなは寝てしまったのじゃ。
「仕方ないやつやな」
たちばなは、お酒を飲みすぎて酔って寝てしまったのじゃ。
その後、たちばなは寝かせたまま、しばらく話したあと高梨と桂は連絡先をもらえたのじゃ。
たちばなのせいで二次会に行けず、桂がたちばなを背負って部屋まで送り届けたのじゃ。
もうこれからはワシが主人公でいいんじゃないかのう。
~帰り道~
「今回は連絡先もらえたなあ」
高梨が喜んでいるのじゃ。
「って言うか、たちばな先輩いない方が婚活上手くいくんじゃないですかね……」
桂が正論を言ったのじゃ。
「まあ婚活始めたのは、たちばながきっかけだし、たちばなのおかげで話弾んだし、よしとしようじゃないか」
高梨が笑いながら言ったのじゃ。
「聞き辛いこと聞いてくれましたしね…明日パンでも奢ってもらいますよ」
桂はため息をついたのじゃ。
「次は婚活パーティー行くか!」
高梨が意気込んで言ったのじゃった。
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