16話 女性の年齢
俺はその後、元々持っていた才能を駆使してマナの性質変化に成功。そして、ジャンプ、ダッシュもできるようになった。
………嘘ついてごめんなさい、めっちゃ練習しました。練習時間は少なかったけど、8時までやらされました。疲れすぎて死にそうです。
とりあえず、8時になったので俺はマナを使って学校に登校した。
着いた時間は8時半だった。あまりの速さに驚いたが、その後師匠の言うとおり体の負担が大きく、どっと疲れてしまった。
昇降口にて、上履きを履こうとすると師匠が後ろを通りすぎたかと思うと、
「今日も昼休み来い。」
と耳打ちして、そのまま去っていった。
……何今の、ドキッとしちゃう!
教室に入ると何か騒がしかった。
すると、紗由理が俺のとこに詰め寄ってきた。
「ねぇ、浩介聞いた聞いた?昨日の夜の10時ぐらいに近くの山からものすごい音がして、警察とかレスキュー隊が出動したんだけど、木がほとんど無くてバキバキに根元あたりから折られてたみたいだよ?私も家にいて急に外から大きい音したから焦ったよ!浩介知ってた??」
顔近い近い!あぁ、良い匂いがするな紗由理……!
………はぁ?今なんだって……?
多分俺は今、盛大にきょどっているだろう。間違いない。
でもこれが普通なのだろう。そりゃあんな大量に木を消滅させれば、音は響くよなぁ……。
やはりというべきか、盛大にきょどっていたらしく紗由理が俺のことを睨んでいた。
「何か知ってるんでしょ浩介。そんな反応してればわかるよ。」
「いやお、俺は何も言ってないんだけども……?」
「わかるよ。だって私、浩介の幼馴染だし親友だもん。」
「紗由理……。」
あの時、出まかせに言った言葉をまだ覚えてたのか。
嬉しいような恥ずかしいような……。
流石、幼馴染だなと痛感するしかなかった。
「だから、聞かないであげる。……ちゃんと話してくれるんでしょ?」
「…………。」
わからない。修行のこと、忍者のことは他言するなと師匠に言われている。
これで言ってしまえば、もしかしたら修行が出来なくなってしまう。
そうなると、家族や紗由理が悪魔に襲われるってなった時に助けることができなくなる。
それは一番、……かっこ悪くて情けなくて、許せないことだ。
だから、俺は本当のことを言う。
「わからない。……でも、言える時が来たら絶対に言う。約束だ!だから、…その……なんていうか…」
くそっ!こういう時に限って言葉がでてこない。
「……そっか、わかった。じゃあ、待ってるよ。言える時が来るまで。いつまでも。」
紗由理は、そう言ってはにかんだ。
「……ありがとう、紗由理…!」
紗由理は幼馴染で親友、と感じた瞬間だった。
ちょうどその時に、朝のSHRの始まりのチャイムが鳴る、と同時に担任の先生が入ってくる。
「じゃあ、またお昼でねっ!」
「…あ、昼は……」
言う間もなく、紗由理は自分の席に戻る。
まぁ、後で言えばいいか。
そう諦め、俺は自分の席に戻った。
〜〜〜
1時間目の授業は数学なのだが、その数学の先生である竹山 楓(たけやま かえで)先生はというと、
「え〜、1時間目から授業とかまじだるいので寝まーす…。なので、自習してください〜。……まぁ、真面目に自習しないと……わかってるよな?」
と、右手拳を鳴らしながら脅してきた。
それでいいのか、数学教師よ……。体罰になるだろ。
てか人間的にやばいよ、仕事しろ。
1年生担当の数学教師であり、我ら1年2組の担任の先生である竹山楓は、ボサボサの髪でスーツを着崩し、
まさに「だらだら」の象徴であった。
だけど、普通に美人であった。
「zzz……」
寝るの早いすぎ……。
俺は数学の問題集を開き、自習を始めようとした。
周りの皆も先生の脅しに怖気づいて、さっさと自習を始めていた。
だが、先生の話を聞いてなかったのか後ろの方で雑談をしてる男子2名がいた。
まぁ、先生寝てるから自習してなくてもバレないしな。
すると、いきなり雑談してる内の1人が「ガハっ!」と言い、腹を抑えながらのたうちまわり始めた。
「次は、……お前だからな…?」
先生がもう1人の雑談してた奴にそういうと、すぐに自習に取り掛かった。
俺には、先生が殴ってるとこが見えなかった。そもそも殴っていたかどうかも怪しい。だって、見えなかったんだもん。
ていうか、先生は寝ていたはずだ。雑談の声量も先生の寝ていたところまで届くか届かないかっていうぐらいだ。それなのに、先生は反応した。
……これはもしかして、……妖怪のせいなのね!そうなのね!
すみません、違いますね……。
俺は脳にマナを送り、先生を見た。
すると、先生から緑色のオーラが少し出ていた。
と思ったら、すぐに消えてしまった。
「あと、高島。」
「っ!?は、はい!」
俺はものすごくきょどりながら返事した。
いや、許してほしい。流石にきょどるだろ今のは。マナ使ってる最中は。
「あとで、職員室に来い。理由は今、わかったはずだ…。」
「……はい。」
まぁ、そうなりますよねぇ……。
〜〜〜
1時間目終了後、俺は竹山先生と職員室に向かった。
職員室の扉の前に着くと、先生が
「今から言うことはもちろん他言無用で頼む。というか、他言したら殺す。」
と忠告してきた。
「わ、わかってますよ!」
目が本気なので困る。
職員室に入り、竹山先生に促された椅子に座った。
「まず、私のマナ、オーラは何色に見えた?」
「……緑…?」
「そうだ!よくわかったな!」
と背中をパシパシ叩かれた。
痛い痛い!
「それで、何がわかった?」
「ゲホッゲホッ!……えぇ、マナを使って生徒の腹を殴った?」
「残念!」
「え、じゃあどうやって……?」
「うーん、そうだなぁ……。そうだ高島、ちょっと数歩下がってくれるか?」
「え、はい」
そう言われ、俺は三歩ぐらい下がる。
「よし、そんぐらいでいい。見てろ。……まぁ、見れないと思うけどな」
「え……?ぐふっ?!」
腹に殴られたかのような感触が残った。
くそいてぇ!普通にパンチより何倍も痛いんですけど?!
「今のはマナ放出の応用だ。マナの性質を変えると見えなくできたりするんだ。まぁ、一歩間違えたら死ぬけどな?」
そう言って先生は、可愛いくポーズをした。
洒落になんないから、そのポーズやめてほしい。
「いや、死ぬのかよ!ていうか、それ普通の生徒にやっていいんですか?!」
「あぁ、私はまだ中忍だが上忍補佐だ。それなりに腕の自信はある。だからマナの調整はできる。どこの誰かさんとは違って、マナを全力でぶっ飛ばすなんてことはしない。はたまた木を消滅なんてことはしないな?」
先生は微笑を浮かべながら言った。
知ってるのかよ、この人…。さすが忍者というとこか。
「まぁ、あんなのは痕跡を見ればお前だってわかる。なんせ、木の根元から黒いマナがもわんもわんで出てきてたからなぁ。いやぁ、あれは見た時は驚いたよぉ!」
先生は笑いながらそう言う。
くそっ!馬鹿にしやがって!
「まぁ、アラサーで中忍って…ぼべっ!!?」
顔面に殴られたような感触が残る。
いや、これは普通に殴られたんだわ。
うん、普通にどっちでも痛いわぁ。
「私はまだ22歳だっつーの!」
先生は少し涙目を浮かべていた。
これからは女性に年齢は聞かないようにしようと、決意した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます