6話 修行開始!


前回までのあらすじをしてやろうではないか…。


………すみません、させてください。お願いします。


俺、自称「不幸男」の高島浩介はここ2ヶ月何も不幸な事が起きず、まさに普通の高校生活を過ごしていた。しかし、その普通も終わってしまったのだ。


「「おい、私という師匠に出会えるなんてむしろ幸運ではないか?」」


「………」


そうこの人、くノ一に学校下校中に俺の(正確に言うと背後だけど)に現れた。その上、俺の事を気絶させて、親に変な口実をつけて自分家に連れ込むなんて……。


「「おいおい、その言い方だと私が拉致したみたいな言い方ではないか」」


「実際そうじゃん!てか、俺今あらすじ喋ってんじゃん?!心の中で!!」


そう、このくノ一……ただのくノ一ではない。爺ちゃんがどうかよくわからんが、その爺ちゃんから心を読む能力を教えてもらったんだと。そのせいで、このくノ一に拉致されたのだ。


「「ちなみに他の忍もほとんどの奴ができるぞ?」」


「……聞いてなかったことにするよ…」


まぁ、何はともあれ、拉致されたにもかかわらずこの家に監禁され、しかも奴隷のごとく労働しろっていうのが前回までの話だ。


「「おい、私はただお前を弟子にして、私よりも強くなれるぐらい修行をしてほしいっと言っているだけだぞ!?……そろそろキレるぞ…?」」


「あんたが強くなればいいだろぉ?!なんで俺が修行しなきゃなんねぇんだよ?!俺は普通に生活したかっだぁぁあああああああいたいたいたいたい!!」


俺は頭を掴まれ宙吊りにされた。

本当にこの人はくノ一なのだろうか……?

キャラが一瞬崩れてたような気がするがスルーするとしよう。キレられたらマジでおわる。


「「……まぁいい、早速だがお前にはこれから修行をしてもらう」」


「ってて…。はぁ?修行…?もう?」


俺は握られた頭を抑えながら唐突な言葉に戸惑っていた。


「…いやいや、修行って本当にやるの?……てか今日学校なんだけど……?」


「「あぁ、やる。しかも学校にもちゃんと行ってもらう。まぁ私もお前と同じ学校だから遅れたら連絡しといてやる」」


「いや、同じ学校なのかよ!?」


しかも、学校に遅れるかもしれないような修行ってなんだよ…。

現在、時刻は7時40分。1時間目の本鈴がなるのは8時50分。しかも、ここから学校まで15Kmもあるという……。なんで俺、こんな悠長に話してんだろう。


「「まぁ、安心しろ、修行と言っても至ってシンプル。ここから学校まで走って通ってもらう。もちろん毎日だ。まぁ、これは修行のメニューの1つと考えてもらいたい。ただし、出発する時間は8時00分になった瞬間にスタートだ」」


「いやいやいや、待って無理でしょ?!朝から15Kmを50分で走らないといけないって、絶対無理でしょ?!」


そもそも、さっき、外の空気を浴びようと思ったら意外と山に囲まれていたんですけど……。


「「しかも、だ。間に合わなかったら、ペナルティとして腕立てと腹筋、スクワットを連続で300回ずつしてもらうからな」」


「あんた、俺を殺す気かよ!?」


「「あぁ、死ぬ気で修行しろ」」


……まじかよ…。狂ってやがる…。ただでさえ距離があるのに山を登らなきゃならないって……。

………よし、帰ろう。そして、取り戻すんだ!普通ライフを!!


「「1つ言い忘れてた」」


「…な、なんですか…?」


俺はもうあんたに用はない!

あらすじの続きだが、どうやらこのくノ一は俺に憑いていた悪魔を倒してくれたようだ。しかも、俺の不幸はその悪魔によるものだと言っていた。確かにあなたと一緒に1つ屋根の下で暮らすっていうのは全然良い。むしろありがたい。正直暮らしたい。……可愛いし…

けれども!それでも!譲れないものがある!

そう、普通だ。俺は普通をこよなく愛するものだ。

だから俺はこの2ヶ月間で味わった普通の生活に戻る。そのために俺はここから帰る!


「「お前に取り憑いていた悪魔、なかなかお前から離れようとしなくてな。よっぽどお前の器の中が居心地が良いのだろう。でな、十中八九、お前の器に入ろうと様々な悪魔がお前に取り憑こうとしてくるだろう。そこで、お前に対抗できる力が無ければ、これは十中八九ではなく確実に死ぬ。要するに修行しないと死ぬ」」


ピキッ!!何かが折れた音がした。

あぁ、こういうのか、心が折れたっていうのは……。

俺の決意を返せよ、バカヤロー!!


「「あと、私に恩返しせずに帰ろうとしたら、どうなるかわかるよな……?」」


拳を鳴らしながら言ってきた。

まじでこの人くノ一かよ…。どっかのヤンキーとかじゃなくて……?ヤンキーより何百倍も強いけど。

もう、ここまできたら何か吹っ切れてしまった。


「あぁぁあ、もう!わかったよ!なってやるよ!最強の忍に!!」


「「おぉ!そうかそうか!」」


「そのかわり!条件を1つ、つけさせてくれ!」


でも、やっぱり譲れないものってあるんだよなぁ。


「俺が最強の忍になったら、俺をあの家族の元に返してくれ!俺は普通の生活がしたい!あの家族とまた、笑顔で生活がしたい!」


俺のこの言葉は願望であり、目標でもあった。

その言葉を師匠はしっかりと聞いていてくれた。

その目は力強く、俺の目を見ていた。そして、


「「あぁ、わかった。約束しよう」」


そう言ってくれた。


「ありがとう、師匠」


よっしゃぁあ!そうとなれば、とっとと修行だ!


「「てことで、あと五分したら8時になるから急いで支度しろ。もちろん、走る時は制服な?」」


「よっしゃああ!臨むところだぁぁあ!!」


制服で走るのは正直嫌だが、普通ライフのためだ。

仕方ないとその時は思った。

そして、始まる。

俺が最強の忍になるための地獄のような修行が。

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