It's a small world
あなたはイヌ派? それともネコ派?
そんな世の中の問いに対し、私は声を大にして言いたいのである。
どっちも好きですが、何か?
目玉焼きには醤油もかけるしソースもかける。何なら塩も振る。
きのこの山とたけのこの里はどちらも好きだ。勿論小枝も好きだ。
ゾロも好きだしサンジも好きだ。やはりウソップも好きだ。
私には好きなものが多いのである。
しかし、私がネコを飼っていることを告げると、口さがない人々はこう宣うのだ。
「そっか、lagerさんはネコ派なんだね」
「!?」
あいや待たれい!
その決めつけは早計では!?
「違うのです。そうではないのです。私はイヌも大好きです。ネコもイヌも同じように愛しております。今はたまたまネコを飼っているだけなのです」
そんな私の答弁も、『世の中をきっちり区分けし隊』の方々には「そっかそっかぁ~。でも飼ってるのはネコなんでしょ?」と白々しく受け流されてしまう。
何故だ。
どちらも好きで何が悪い。
もふもふに貴賤はない。
以前ちらっと言及した、巨大なイヌを飼っている親戚の方が我が家に遊びにきた時の話をしよう。
その方はもう何十年もイヌの飼育を続けている方で、今のイヌは確か三代目のはずだ。
当然自らイヌ好きを公言して憚らない。
そんな彼が、ある時こんなことを言った。
「やっぱりイヌがいいよ。飼うならイヌだ。断然そう。ネコではなく、イヌを飼うべきだ」
……ほほう。
よう言うたなぁ。
私は彼を我が家に迎え入れた。
キジトラさん。やっておしまいなさい。
そして数時間後。
「やっぱり、ネコを飼うのもいいな……」
我が家を辞した彼は、名残惜しそうな目でそう言ったのだった。
そう。
もふもふに貴賤はないのだ。
イヌ好きな人だってネコを愛せる。
その逆もまた然り。
私がその親戚の方の自宅にお邪魔した時には件の巨大なイヌを思う存分もふり倒したし、私が休日に家の前で洗車をしていると大概一組二組はお散歩中のイヌが通りかかるので、私は遠慮なくもふらせてもらう(勿論手はきっちり拭いております)。
職場のパートのおばちゃんが飼育しているミニチュアシュナウザーとはすっかり顔馴染みだし、何なら彼女に着せる服の相談まで受け付けている私である(そして相談する風を装いながらも大して私の意見を参考にしてくれないおばちゃんである)。
ただ、イヌ派だネコ派だなどと口でいくら言ったところで、世の中、実際に動物を飼っている人ばかりではない。どうしたって現実的なあれこれの問題が立ちはだかって、動画サイトでしか動物を愛でる術がない人がいることも事実。
どうやらそんな中で実際に動物を飼っている人は、『自分はこの動物を飼うことを選んだ』という自負というか、矜持のようなものを抱いているのではないかと思う。
そういえば私が小学生の時に流行ったゲームで、クラス内に『どっちの色を選んだか』論争が巻き起こったことを、今書いていて思い出した。曰く、『赤を選んだ奴はかっこつけ』だの、『緑を選んだやつは効率厨(この言葉は当時にはなかったが、大体そんな意味のことを言っていたように思う)』だの、今思えば低レベルな争いをしたものだ。
でも、よく考えてご覧?
友達が同じ色しか持っていなかったら、図鑑、完成できないよ?
そうだ。
私はネコを飼っている。
あの人はイヌを飼っている。
なら、お互いに可愛い写真を撮り合って見せ合えばいいじゃないか。
たまに遊びに行って、もふもふし合えばいいじゃないか。
世界平和、ここに成る。
……さあ、あなたはネコ派? それともイヌ派?
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