【エッセイ】創作物の権利とか【吐き出し】
※基本的にこのエッセイは主観で書いていることをお伝えしていますが、今回の話題はデリケートなものである為、全力で主観ですと言い訳をした上で進めさせて頂きます。※
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最近目に入って気になったことがあります。模倣、盗作、権利。非常に難しく、こちらは法律・倫理に詳しくないと触れがたい内容だとは分かっています。それでも個人的にもやもやして、筆を執ることとしました。
今読んでくださっていると言うことは、最初の一文に頷いてくださったと考えています。ご理解のほど有り難うございます。見かけた話題について強い言及は避けたいと思いますが、一個人、もやもやして消化できない物を文章化するのも文字書きらしいかと思い、場所を取らせて頂きました。
語るに当たって切り口に悩むため、箇条書きと個人の意見の覚え書きを羅列する形となっています。合わなかったらすぐに忘れてくださいね。
・二次創作の権利
箇条書きにあげましたがこちらはあまり突っ込んで言いません。グレーゾーンとかそういう問題や法律について詳しくないので、私が言いたい主張はひとつです。
「二次創作物では著作権はある」ということ。この権利について細かく言うとややこしいですし私は浅学なので触れることが出来ませんが、著作物、の権利はどのようなものでも存在します。例えば「ファンアート」を見かけた出版社が、その「ファンアート」を無断でグッズ化したら著作権違反でしょう。ファンアートに対して出版社が権利違反を法廷で争うことと、その二次創作著作物の権利を主張することは別です。
「二次だから権利などない」ということは奇妙だと思います。「二次創作という時点で一次創作物の権利を侵害しているので権利を侵害されても仕方ない」という主張に対しては、「それを論じるのは誰か」という問題が絡んでくると考えています。
たとえば公式がその著作権を主張した場合と二次創作の著作物の著作権が違うこと、社会的倫理、法律。それらは確かになされることですが、乱暴にいってしまえば「自身の犯罪を正当化するために用いるものではない」と私は考えています。
「人を殺したのだから殺されても仕方ない」という感情論が成立しない社会の中で、それらの理屈は不当に思えるのが個人的感情でしょうか。また、今は禁止されている仇討ちというシステムも、昔は「血縁でなければいけない」「助太刀を頼む場合は届け出を」などルールがありました(迎え撃つ側の正当防衛も認められているので見つけたら殺せるものでもなかった)。そういうルールを無視して「二次だからなにされてもいいだろう」というのは短慮だと思います。それと、創作物の権利をゼロかイチかで完全に認めないことも。
勿論原作を尊重し、愛し、活動することが求められると思いますし、原作を踏みにじると感じる作品を私は好ましいと思えませんが。それでも表現者として、表現の全てを否定することは別だと思っています。
・オリジナリティと盗作
完全なオリジナル、どこにもない作品はあり得ない。これは創作に触れていると認識しやすい事象ではないでしょうか。故にオリジナルと盗作は分けて考えられないと言われることがありますが――それには不満を感じます。
完全なオリジナルはあり得ないとしながら、同時に完全なコピーもあり得ない、というのが私の考え方です。
貴方が線を引く時点で貴方のオリジナルが出る、という話も絵の界隈ではあります。模写をしながら作者の線を追い、なぜそのように筆が運ばれたのか考え、構図の意図を思考する。所謂パクリ、と言われる物は構図をそのまま真似て終える印象です。そうではなく、「何故この構図になったのか」を作家の答えから考え、計算式を導き出し、その公式を使いながら自分の答えを導き出すのがオリジナリティではないでしょうか。
正直に言えば、私は全ての作品をシェイクスピアが書いているからみんなパクリだと、二次創作だ、とかそういう暴論を聞くと、「何言ってるんだこいつは」と思います。要素として分析し、公式を多く過去の文豪達は書いているでしょう。完全なオリジナルがないという話を私は作品を出すことに躊躇わなくていいのだというポジティブな意味で言いますが、そいう思考停止のような発言は、正直に言って好ましく思いません。お前仮にも創作者じゃねぇのか。くらいには思います。口が悪いですね自覚はあるけど正直すぎる感情です。
言葉や要素は既に出ています。それに突飛さを求めたり、誰も書いたことがないものをと考える人に対しては、私も冷静になるようにと「誰も書いたことないものなどない」と伝えますが、同時にオリジナリティはそこではない、と考えているのです。
様々な要素があります。時代があります。文明があります。貴方という感情があり、読者という感性がある。たくさんの要素が混ざって成り立つ世界で、「この答えを見せるために公式をどのように使うか」という思考、またどれを使うかと言ったアイディア、見せ方などは個々の物です。
インプット量が少なければ、それは確かに公式がそのひとつだけで真似に見えるかも知れません。そういうことをなくすためにもインプットを多くして、可能性を、組み合わせをどんどん増やすことが推奨されるのだとも思います。貴方の色の中でいかに新しい物を導き出すか、とか、既存を使ったとしてもそこにだしたい書きたい物は確かにオリジナルで、描かれていく大切な要素だと思うのです。
そして膨大な式を探し出しインプットしたものが、ただそこにある式と答えをそのまま使ったものと並べられるられるのは、個人的にどうしても苦しく、不快に思います。凡庸なことを使ったらオリジナリティがない、ではないんです。凡庸ですら、組み合わせで一気に色が変わるんです。
これは私が凡庸を愛するからかもしれません。拙作「探偵 山田太郎と記録者 横須賀一の物語」では、こんな一文があります。
「『話をしましょう』」
このたった一文、それこそオリジナリティもなにもない文章だとご理解いただけると思います。しかしこのたった一言に、読み手が得るものは別なのです。
普通に会話に出るだけの一文と、作中で意図を持って書かれた一文は明確に変わります。この平凡な発言は、探偵が人と向き合うときに繰り返されました。そしてこの一文を、私ははっきりとした意思で選んであります。
この台詞でなければいけない。そういう明確な意思で選んだ凡庸な台詞を、オリジナリティがないと人は言うでしょうか?
おそらく読んでいない人は言うでしょう。読んだ人も凡庸な台詞であることは頷きます。ですが、これははっきりと、意味をもっています。オリジナリティがない、には凡庸であるので頷きながら、それが誰かのパクリと言われたら私はやはり頷けないと思うのです。
文章の組み合わせ、物語の流れ、キャラクター、意図、演出。どれもが絡んで成り立つ物で、そうやって得てきた知識や言葉、経験によるものとコピーを同一と言われることは、個人的に納得がいかず、思考の停止だと思いました。
・アイディアについて
アイディアについてはフリーのものであり作品になったときに著作権として問題が生じると考えていますが、それでも「アイディアを思いつく」時点で価値のあり物だと思っています。何故かというとそれだけインプットしどうして表現するか考え努力した時間があるからです。それを「アイディアがもったいない」といって奪う人は、創作について考えが足りないのでは? と思ったりします。良いアイディアと思ったらそれこそ分解し式を探し、その中で自分のオリジナルとして演出すれば良い。「もっとよくしてやる」なんて自分の主観を信じられることは、正直理解しがたいです。
傍目八目と言う言葉があります。横で見ているとよく見える。しかしでは、横で見ている人はその今打っている人より強いと言えるのか? そういう単純な話だと個人的には思っています。
ただアイディアは分解した式に近いところがあり、それをせめることは難しいでしょう。オリジナルに近い素材をばらまくことになるので、アイディアだけを呟くのは危険だなとも思ったりします。
ただまあ単純な話、プロよりアマチュア作品で問題が出るのは作者同士の距離が近いからでしょうね。アイディアを拝借した相手がどう思うかとか、拝借された人が発言したことで読者がどう感じるかとか、式を考えず人の物を拾い上げるだけの人がずっといい式を見つけられるのかとか、諸々の問題があるのでその辺は個人的に大分冷たい目で見ています。創造性とコピーは違うと思いますし、真似たことで相手が喜ぶかといったら、喜ぶ義理はない、が現実だとも思いますし。
またこのアイディアに限りませんが、倫理を自分の主観でしか決めない場合、社会の倫理、仕事や仲間の倫理とずれた結果どうなるかの想像力がないとだいぶ大変だなあとも思っています。
ぐだぐだ話しました。個人部屋というよりちょっと愚痴というか感情吐き出しに近いですね。でも個人部屋なのでエッセイらしいかなとも思います。
引用のルールとかそのへんの感覚のが強くて、どうにもやはり知識不足が目立ちますが。主観を全力で殴り書きしました。
作る人に憧れるからこそ多分ひっかかりすぎたのかもしれませんね。
吐き出し失礼しました。
(2018/04/02)
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