星が私にささやいて。

@Komirin3535

第1話

怖い、怖い、怖い。

胸がドキドキする。

いやな予感がする。

私は毎日生きることに必死で、

何をするにも恐怖がつきまとう。

私を見る人の目。

ざわざわ聞こえる話し声。

でも、ここ、ここだけが私の場所。

星がささやいてくる。

きっと、誰でもない、私だけに、、、、


小鳥がさえずる春の日、私は目を覚ました。

包丁のトントンという音が聞こえてくる。

階段を降りると、おばあちゃんが、「おはよう」と優しい笑顔で言ってくれた。

今は、おばあちゃんと2人暮らし。

父は交通事故で亡くなり、母は遠い異国にいるようだ。

それは9年前、私が5歳の頃母は家をでた。

特に理由も言わず。

よく映画であるだろう。母と子が再会して、母が家を出た理由が感動的なものだった・・・というような。

うちみたいな家に、そんな奇跡が起こりえるだろうか?

年月がたつほどに、さみしさと怒りがこみあげてきていた。

でも、今はもう慣れてしまった。

大切な友達もいるし。

なんとか生活してきている。

そうこうしているうちに、朝食が出来上がったようだ。

豆腐の味噌汁と、ほかほかご飯、焼鮭、ほうれん草のおひたし、納豆。

いたって普通の朝食に見えるが、私にとっては特別な、心のこもった料理だ。

「いただきます」

昔から父は箸の持ち方や姿勢に厳しかったが、今はとても感謝している。

食べ終わった後、制服に着替え、家を出る。

相変わらず家ボロいな、とクスッと笑っていたら、親友と出くわした。

親友の名は、美帆という。

美帆は「ごきげんよう」と挨拶してきた。

私も、優雅に手を振って「今日も日差しが強いですわね」といった。

「お嬢様になってみたいですわ〜」

「オホホホホホホ〜」

勘違いしないでいただきたいのは、私たちはお嬢様ではない、ということだ。

あくまでもそのふりをしているだけである。

いつもこんなふうにバカやって、1日が始まる。

ちなみに、美帆は美人で男子に人気が高く、運動神経は抜群。でもおっちょこちょいで少し抜けている部分もある。

そんな美帆と自分を比べてしまう時があるが、美帆も苦労しているのだ。

モテる美帆に嫉妬して女子がどうのこうのという問題もあるし、親が離婚して片親だということもある。

だからこそ、信頼できるし、自分をわかってくれているような気がして気持ちが楽なのだ。

そんな美帆と道路を歩いていたら、変な感じがした。

ここ、夢で見たような・・・・?

そんな気もしたが、気にしないでふざけあっていた。

そのとき、私は美帆を押してしまった。

あっ・・・・・・・・・!!!!!

後ろから白いライトが眩しく奇音とともに迫ってくる。

気付いたときには、もう遅かった。

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