一四. 禁忌への覚悟㉒

 

 


 沖田様・・・次はいつ逢えるの

 

 

 

 

 

 

 「こちらのご記入は終わりましたか」

 

 待合室でぼんやり座っていた冬乃は、傍まで来た看護師の呼びかけに顔を上げた。

 

 看護師に記入済の問診表を渡し、検査室に入って、指示された検査着に着替えながら冬乃は何度目かの溜息をつく。

 

 

 昨夜に寝て。目が覚めたら平成だった。

 

 同時に統真の声が、下の玄関から聞こえて。



 そのまま統真が下の居間で待つ間、二階に上がってきた母は、冬乃が起き上がっているのを見て、開口一番「病院へ行くから着替えなさい」と言った。

 


 統真が『今朝』来た時、彼は母に、

 無理に冬乃を起こさず、今日は学校を休ませて、あとで精密検査を受けさせたほうがいいと、

 そして、

 大学の付属病院で検査の受け入れ準備ができたらまた迎えにくる、と言ったのだと。

 「なぜ昨日倒れて保健室で寝たことを言わなかったの」と最後に冬乃を責めるように添えながら、母は告げた。


 (あなたに伝えたって仕方ないし。・・どうせまた、こうやって私に迷惑かけられたから、前もって私が伝えなかったの怒ってるだけでしょ)

 冬乃は返事はせずに、黙って着替え、

 一階に降りて、まだ何か言いたげな母を背に統真と玄関を出た。

 


 こんなにも面倒をみてくれる統真には、

 先程まで連れ添われて来る道すがら、恐縮しながら感謝を述べると、「乗り掛かった舟だから」と一言で微笑って返され。

 

 なんだか沖田に似ている。不意にそんなふうに感じてしまった自分に驚きながら、

 統真がこれから講義だと去るのを冬乃は呼び止めていた。

 

 「え?」

 

 次はいつお会いできますか

 

 咄嗟に呼び止めたその問いかけは、

 誤解を招きかねない台詞であったことに、次の瞬間に冬乃は気がついて。

 

 慌てて、

 「その、一度きちんと御礼させてください、このままでは母に叱られます」

 継ぎ足すと。

 

 「ああ、」

 統真は微笑った。

 

 「気にしないでいいよ、そんなの」

 

 結局、そのまま別れてしまい。今に至る。

 

 

 

 (向こうへ行く時も、こっちへ帰ってくる時も・・両方に統真さんが関わっていることは、これでもう確実なのに)


 

 

 行く時も帰る時も。

 必ず、彼が冬乃の近くに現れた瞬間が引きがね、という事。

 

 (そしてその瞬間だけ・・)

 


 統真が冬乃を迎えに来た時から、一度も離れず、先程まで一緒にいたその間は、タイムスリップは起こらなかった。

 

 あくまで、冬乃の近くに彼が来たその瞬間に、行き来のタイムスリップは『発動』するのだ。

 

 (だからきっと次にタイムスリップが起こるのは、次に統真さんに会った時)

 

 

 早く戻りたい・・・

 

 

 あまりに心ここにあらずの冬乃を心配した顔で検査技師が、大丈夫ですかと尋ねてきて、冬乃は無理に微笑み返した。

 

 山南の件も、気がかりなのに。微笑み返した直後からまた、冬乃は顔が強張って。

 

 統真の講義が終わったらやはり会えないだろうか。

 (て、ようするに会ったらまたすぐ倒れちゃうんだよねきっと)

 

 こうも面倒をみてもらい精密検査まで受けておいて。

 またも目の前で倒れられることになる統真の身にもなったほうがいいかもしれない・・

 

 

 冬乃がぶつぶつ胸内で呟いていると、検査技師がもう一度、大丈夫ですか、と声を掛けてきた。

 

 (あ。)

 どうやらぼんやりしている冬乃が指示どおりに動かないので、まともに検査が進んでいかず困らせているようだ。

 慌てて冬乃は、検査技師に詫びて、いったん検査に集中し始めた。

 

 

 

 

 

 

 散々悩んだあげく結局、今日の今日で、統真の目の前で倒れることはやめておこうと結論づけた冬乃は、おとなしく家に帰り、明日会いに行く方法を練り出すことにした。

 

 母から御礼に渡すように言われたといって何か手土産を持っていくだとか、倒れるにしても、寝不足のていを装うならどうだろうだとか、

 あれこれ考えているうちに、あいかわらず取れていない疲れが本格的に襲ってきて、冬乃は早々に布団に入り。

 

 そして、それまでの熟慮など必要が無かったほどに。

 

 あっさりと。

 

 

 翌朝、玄関のチャイムの音に冬乃が目を覚まして、

 「・・まだ結果・・検査も・・わかる範囲では・・」

 

 統真の声が、ところどころ聞こえてきて。

 

 「問題な・・」

 母の答え始めた声が、続いたのが最後、

 

 

 タイムスリップが『発動』した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・冬乃さん?」

 

 まばたきをした、そのほんの一瞬のちに。

 冬乃が居た。

 

 

 「お・・沖田君、今」

 山南の震える声に、沖田は頷いて返す。

 

 「突然現れましたね・・」

 

 なんだかんだで、文机に倒れているところは見てきたが、

 倒れる瞬間を見たのは、今回が初めてだった。

 

 いや、

 倒れる瞬間というより。

 倒れた状態で現れた瞬間、といったほうが正確のようだが。

 

 

 (それにしても、あいかわらずすごい恰好だな)

 

 

 

 

 

 

 「冬乃さん・・」

 

 

 晴れてゆく霧のなか、

 愛しい声を耳に、冬乃は、

 

 そっと目を開けて。

 

 

 真上には沖田の覗き込む顔。

 

 (あ・・)

 

 「おかえり」

 

 (沖田様)

 常の、低く穏やかな彼の声に迎えられて。冬乃はにっこりと微笑んでいた。

 

 ふと感じたぬくもりに体を見やれば、モコモコの冬着、褞袍がかけられている。

 (・・・今って)

 

 「今日は、元治二年二月一日」

 

 もはや聞くより早く、沖田が答えてきた。

 恒例すぎるやりとりなのだが、

 

 (二月!?)

 

 がばっとおもわず起き上がった冬乃の前から、褞袍が落ちた。


 冬乃の視線が落ちた褞袍を追いながら、急に冷気を受けた自身の体が目に入り、またもキャミ一枚であることに次の瞬間に気がついて慌てる冬乃に、

 沖田が微笑いながら、落ちた褞袍を拾い、冬乃の前から肩にかけてくれて。

 

 「有難うございます・・」

 

 「起き上がったついで、着てしまえば」

 言うなり、沖田が背を向けるように座り直した。

 起き上がったことで視界の端に映った山南も、同じく遠慮がちに横を向いた。

 

 (山南様・・)

 二人が視線を外してくれている間に、冬乃は褞袍を背に回して着込みながら、

 山南が生きているうちに間に合ったことに、心の底からほっとする。

 

 

 そういえばこの褞袍はやっぱり沖田のだろうかと、冬乃がどきどきしながら、

 「着終わりました、・・有難うございます」

 二人に声をかけると、沖田が振り向き、

 「そういや、土方さんが留守の時でよかったね」

 笑いかけてきて。

 

 冬乃は、その笑顔にとくんと心の臓を跳ねさせながら、おもわず釣られて「ハイ」と頷いてしまった。

 土方の前回の怒り具合を思い出したのか、山南が向こうで、フフと微笑ったのが聞こえてきた。






 冬乃がその体には大きすぎる沖田の褞袍を、ちょっと重そうに引きずって使用人部屋へ戻ってゆく。その可愛らしい後ろ姿を目に沖田は、

 冬乃が先ほど己の前に現れてから、急速に満たされるように埋まった心の隙間に、

 その単純なまでの己の反応に。苦笑せざるをえなかった。

 

 冬乃がまたいなくなってから、暫くは心にぽっかり空いたその隙間と、

 そこへ吹きすさぶ寂寥に傷む己に、驚きながら過ごしていたものだが。

 それにもとうに慣れ、ここにきてはむしろ、もう彼女が戻ってこないならばそれも悪くないと、

 

 はなから好きになるべきではない相手であり、想いが深まるよりも前に、このまま想い出の中へ仕舞ってしまえるならば、それが一番いいのだろう、

 そんなふうに思い始めていた矢先に。彼女は戻ってきた。

 

 嬉しさが先立ち。

 だが、また振り回されるのかと溜息をつきたくなる気分が、少々。

 

 どうせまた、気づいたらいなくなる。

 そしていつかは、そのまま戻ってこなくなるだろう。

 

 それなのに、己は。

 

 

 

 

 

 

 

 (沖田様の褞袍・・)

 部屋まで着て戻っていいよと言われ、立ち上がったら、思いのほか裾が長く。続いた重さに驚きながら部屋へ戻って襖を閉めた冬乃は、

 まだ着たままに、つい胸前で褞袍を抱きしめた。

 

 その温かな重みは、後ろから沖田に包まれているような錯覚さえ冬乃に与えていて。

 (ずっとこのまま着てたい)

 

 勿論そういうわけにもいかないので。

 暫しのち、冬乃は諦めて代わりの着替えをとるべく押し入れへと向かった。

 

 

 

 着替えを終えて沖田に褞袍を返し、冬乃は外に出た。

 

 冬もあと少しで終わりとはいえ、まだまだ凍てつく寒気に身を縮こませ、淡い日差しの中を厨房へと向かう。

 

 茂吉たちに、これまた恒例の挨拶をして、さっそく昼餉の支度に加わりながら、

 冬乃の思考は早くも手元の調理から逸脱し、統真の謎について向かっていた。

 

 

 (やっぱりわからない)

 どんな因縁があって、彼が冬乃にタイムスリップを引き起こすのか皆目見当がつかないのだ。

 そもそも統真本人が、この状況を知っている様子も無い。

 

 何か本人すら預り知らぬ特殊能力でも備えているのだろうか、と、もはやSFもびっくりな現象に笑ってしまいそうになる思考の中で冬乃は、

 (とはいっても)

 同時に唸る。

 

 彼が傍にきた瞬間にタイムスリップが発動することは明白となった今、

 次は、彼にむしろ冬乃に会いに来ないように、何らかの方法でお願いするしかなくなるではないか。

 

 (でなきゃ、毎回ここに長居できないまま・・)

 

 だが、医者の卵として、冬乃のことをあれこれ心配して乗り掛かった舟だとばかりに責任感すらもって訪ねてくれる彼に、会いに来るなというのも失礼極まりなく。

 

 

 現状、冬乃のもっぱらの心配は、いま山南の件が落ち着く前に、また平成へ帰されてしまわないかということだった。

 

 失礼な祈りにはなるが、今は未だ平成の冬乃に彼がまた会いに来ないことを祈るよりない。

 

 

 

 

 

 茂吉に指示された用意すべき食事の量は、前回いた時と比べてかなり増えていて、

 冬乃は、近藤たちが江戸から連れて来た、そして同時期に大阪でも集われた新入隊士の人数が加わっているのだと思い出した。

 

 

 案の定、広間にやっと大量の膳を並べ終えた頃に入ってきた隊士達の中には、全く初見の人も多く。

 

 隊士のほうも、初見の冬乃の存在に驚いているようだ。

 もっとも顔見知りの隊士たちも、久しぶりの冬乃の登場に、驚いたように会釈を送ってきてくれて。


 そうこうするうちに沖田が入ってきて、冬乃をあたりまえのように自分の隣へと手招いてくれた。

 

 それだけで十分すぎるほどほっとした冬乃だが、そっと座りながら、

 こうして傍には居させてくれても、心の距離は遠く保ったような態度をまたきっとされてしまうのだろう、と心のなかで項垂れる。

 

 いや、考えてみれば、冬乃にとっては未だ一日と経っていなくても、沖田にとっては四ヶ月以上も経っているのだから、

 とっくに冬乃の沖田への恋情云々など忘れているかもしれないと、寂しい想い半分、あんな台詞は忘れていてほしい想い半分で小さく溜息をつく。

 

 

 各々に食事を始める中、近藤と土方がまだ帰っていないのを目の端に、冬乃は椀の蓋を開けた。

 沖田が隣の斎藤に話かけている横で、冬乃は静かに味噌汁を啜る。

 

 向かいの並びに座す山野からも恒例の視線を感じるが、先程一度だけ目礼して、あとはあえて視線を合わせないでいる冬乃に、

 「冬乃さん、ここいいかな」

 話しかけてきたのは、意外にも山南だった。

 

 「教えてほしいことがあるんだ」

 

 横に膳ごと座すなり、切り出してきた山南に、冬乃は箸を止める。

 

 「はい・・」

 

 「天狗党のことは、未来に記録があるのかな」

 

 

 

 冬乃は。息を呑んで山南の目を見返した。

 

 

 


 一呼吸を要して。

 

 「・・記録はあります。ですが、」

 冬乃は、小さく頭を下げた。


 「ごめんなさい、“歴史”の勉強不足で・・詳しくは存じ上げないんです」



 冬乃の口からではない、山南の口から確認しなくてはならない。

 今、どこまでの情報が彼の元にあるのか、


 「ただ、年末に天狗党が、京へ向かっていたということは聞いた覚えがあります、今も・・でしょうか?」


 何を、その心に想うのか。



 今日は二月一日。つまり、

 つい先日に、天狗党の身柄は幕府に引き渡され、およそ人道でない扱いで彼らは、魚の貯蔵用の倉へ放り込まれたばかりなはずだ。

 まだ、その情報は山南達に届いていない可能性が高いとはいえ。



 冬乃の危惧は。

 

 山南が、それを知った時、

 そしてこの後の処刑を知った時、


 (もし、それで・・)



 「ああ、彼らは京へ向かってきていたが、一橋公を頼って加賀で投降したと聞いている」

 

 「そうでしたか・・」

 山南の返事に、冬乃は小さく頷いた。

 (やっぱり、情報はまだ届いていないんだ)

 

 「まあ、同家中の一橋公であれば、悪いようにはしまいと、安心してはいるものの、・・やはり万事が終わるまでは気懸りではあってね」

 


 冬乃は。

 胸奥に刺し込んだ息苦しさに。ふらつきそうになった体を、咄嗟に背後で片手を突いて留めていた。

 

 なにげないふりを装って、前へ向いて小さく息を吐き。

 

 「そうですか・・」

 漸う返事をした。乾いた喉を潤そうと、湯呑を両手に支えて取る。

 

 

 水戸の天狗党が、

 幕府に背信の意図があっての挙兵でなかったことは、この時期の知識層には周知の事だ。

 朝廷も、幕府内にも諸藩にも、彼らの穏便な処遇を望む声は強く。

 

 篤実で気の優しい山南もまた、事態の顛末を案じるのは、おもえば当然だった。

 

 

 (だけど、・・・聞いてくる程までに心配しているとなると)

 

 冬乃は湯呑を持つ手に力を込めた。

   

 胸騒ぎがする。

 

 

 (・・うろたえていても、どうにもならない)

 

 「何か、思い出したらお伝えいたします」

 顔の緊張を気づかれないように。冬乃は隠すようにして会釈をした。

 

 「有難う」

 山南はそう言うと、膝を動かし、共に持ってきていた膳へと向き直った。

 

 

 

 

 

 ・・水戸は。

 

 あの芹沢たちの母郷であり、

 幕末期のじつに初期から、尊王攘夷志士を輩出した、魁の藩であり。


 そして先の禁門の変を経た今、幕末期最後に残った純真たる尊王攘夷志士の集団、といっていい天狗党を生んだ藩。



 幕末における水戸藩は、悲壮なまでに藩論が分裂していて。その悲劇は、のちの明治まで続くこととなる中で、


 彼らのうちの急進派が集い、尊王攘夷の決行を目指して昨年挙兵した集団が天狗党だった。



 しかし、初期の天狗党やその分隊は、草奔の志士の中に悔やまれることには暴徒も交え、

 軍資金の徴収と称して、宿場の焼き討ちや民衆の殺害まで行ったために、幕府から討伐に追われることとなった。


 のちに穏健派が加わった頃から、統制のとれた集団へと変わってゆくも、時すでに遅く、幕府の征伐軍との交戦は免れえず、


 元々幕府へ背信の意図があったわけでは決して無く、あくまで攘夷決行のための軍であった旨を陳謝するために、

 朝廷および水戸生家の一橋慶喜がいる京を目指し進軍し、彼らは加賀の地にまで達していた。



 そのさなか、幕府側征伐軍の総督として慶喜が彼らを迎え討つ側に在る事を知り。

 主君にも等しき慶喜に、万一にでも敵するような事態になってはならないと、彼らは京へ入るを諦め、降伏を決意したという。


 加賀藩を通して降伏を受理した慶喜は京へ戻り、加賀藩は彼らの沙汰が決まるまで丁重に預かることとなった。

 

 

 そこまでは良かったのだ。

 

 

 (なのに・・)

 

 

 手に感じる汗に冬乃は、膳へ湯呑を戻しながら。そっと横目に山南を窺った。

 

 この後の事態を。

 山南だけではない、この時期の誰もが、予想さえしていなかったのではないか。

 

 

 一説には、年が明けて慶喜の元へとやってきた、時の若年寄、田沼玄蕃頭が『天下の公平な沙汰』を主張し。天狗党への厳罰を断行することとなる。

 

 慶喜も立場上、止めることは無かったのか、または完全に田沼に一任し、その後を知るよしもなかったか。

 

 二人の間でどのようなやりとりがあったにせよ、慶喜から全権を引き継いだ田沼は、一月末、加賀藩から天狗党の身柄を引き取るやいなや、

 彼らをニシンの貯蔵用の倉へ、身ぐるみ剥がして投げ込み、食事もろくに与えずに放置し。

 

 (そして・・)

 

 

 今日より三日後。田沼は彼らの大量斬首を開始することとなる。

 

 二十三日までの、数日にわけて行われた処刑は、その数、三百名を優に超した。

 

 

 『武士の情け』を失った、

 血迷ったかと。

 幕府の処置を非難する多くの声の一方で、

 

 彼ら天狗党に、町を奪われ家族を殺された民にしてみれば、確かに『当然に公平な処罰』ですらあったのだろうか。

 

 それでも、この大量処刑が世間に与えた衝撃は、計り知れず。

 

 

 (処刑が始まり数日もすれば、新選組にも情報が来るにちがいない・・・その時・・)

 

 

 

 或いは不可能ではないかと。危惧していた事。

 冬乃は胸内を覆い始める不安に、震える手を握り締めた。

 

 山南が、

 今の時点でさえ、一橋公ならと安心しながらも彼らを気にかけ、こうも案じているのならば、

 この後の幕府の対応を知れば彼は、間違いなく幕府に失望してしまうだろう。

 

 そして、そうなった時。

 

 

 冬乃どころか誰が、彼を救うことなど、できるのか。

 

 希望を託し、信じて仕えた幕府への、

 その深い失望感から、

 

  

 ―――新選組に居る意味を見失う、

 

 虚無感から。

 

 

 





                 

     

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