9日目2/3

 イタタ……。首周りがじんじん痛むよ……。

 そうだ、裕司くんは!?

「裕司くーん?」

 返事が無い。まさか、もう姉さんに……。

 だとしたら、ぐずぐずしてはいられない!

 愛剣を取り出し、辺りを見回す。すると不自然な足跡を二組見つけた。

「これは……(罠かもしれないけれど、行かないことには!)」

 私は足音を立てないよう、慎重に足跡を追跡し始めた。


     *


 ぼくはメアさんに腕を掴まれっぱなしのまま、五分ほど歩き続けた。

「着いたわ」

 ふと、メアさんが足を止め、ぼくに話し掛ける。

「ここは?」

 一見すると、何もない場所。特に変わったものが置いてあるとか、景色がきれいだとか、そういった印象を全く受けない場所。

「メアさん、ここに何が――」

「シーッ。もうすぐあの子が来るだろうから、ここで待ってて」

「は、はい……」

 強引に黙らされてしまった。

 メアさん、一体どうしてしまったんだ?

 ぼくが疑問に思っていると、メアさんはおもむろに杖を取り出す。

「ごめんなさい、裕司くん」

 何故か謝られてしまった。え、あの、どういうことですか?

 すると、杖に取り付けられている宝石が輝き始めた。

「あ、あの、メアさん?」

「後で元に戻してあげる」

 ぼくの意識は、そこで止まった。


     *


 こ、これは……裕司くん!?

「姉さん、裕司くんに何をしたの!?」

「あら、見てわからないのかしら、メイ?」

 姉さんに言われるまでもない。視覚だけは、今の裕司くんを認識していた。

 そこには――


 意識を失っているであろう裕司くんが、泡状の球体に閉じ込められていた。

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