8日目1/3

 今日も何もない夢には……ならないだろうな。

 なぜかって? それは簡単な理由さ。


 メイちゃんのお姉さん……メアさんが、既にぼくの夢の中にいるのだから。


「初めまして、こんばんは。裕司くん、今日で悪夢を終わりにしてあげるからね」

 ぼくに挨拶してくるメアさんは、対峙しているメイちゃんを無視していた。

「姉さん、随分な態度ですわね」

「何を言っているのメイ? 喧嘩相手への態度は、これが当たり前ではなくて?」

 既に空気がピリピリしてる。これは、相当激しい戦闘になるだろうな。

「裕司くんは下がってて」

 メイちゃんがぼくに忠告してくれている。

 けど、心配しなくても限界まで下がっているよ。いくら夢の中でも、痛い目に遭うのは嫌だからね。

「姉さん、早くおいとましてくれないかしら?」

 メイちゃんが銀色の剣を取り出す。ルビーか何かが刀身に嵌め込まれている剣だ。

「それはこちらのセリフでしてよ、メイ」

 メアさんは球体状のサファイアらしき宝石が先端に嵌め込まれた杖を振るい、高々と掲げた。

「さあ、始めましょうか」

「どちらが留まるか」

「どちらが去るか」


「「楽しみね」」


 バヒュウと土煙が上がり、二人の姿は見えなくなった。

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