5日目2/2

「しょうがないなあ……」

 メイちゃんは観念したように、ぼくの悩みを聞いてくれる様子を見せてくれた。

「昨日さ……。学校に通ってたら、変な人を見ちゃってさ……」

「どういう人?」

「ニット帽にサングラス、それにマスク姿の人」

「あらあら、それはすごい変な人ね」

「で、その人が近づいてきて、何か怒鳴ってたの」

「誰に?」

「ぼくに」

 すごい怖い人だったな。けど、声から考えると、女の人だったのかも?

「髪の色は?」

「え?」

「髪は何色だったの?」

「銀か白か、どっちともいえない感じの……色、だったけど」


「それでわかったかもしれないわ」


「え?」

「けど、今すぐに裕司くんに答えを言うわけにもいかないから、今のは聞かなかったことにして?」

「う……うん」

 どういうことなんだろう?

 ぼくが考えていると、メイちゃんが提案してきた。

「ねえ、その人に会ったときだけでいいから、体を貸してくれない?」

「う……うん、いいよ? けど、なんで?」

「わたしの知り合いだと思うから。多分、だけどね」

 多分ってことは、まだはっきりわかったわけじゃないんだろうな。

 けどぼくは、メイちゃんに一時的に体を貸すことを決めた。

「それじゃ、今日も遊びましょ?」

「うん!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る