陰謀w 4
ムベンガ 社長室
ドアから出て来たのは若い女性だった。黒髪のショートヘアで、左目に黒い眼帯をしている。見た目からして、堅気ではないと分かる。
「社長、お呼びでしょうか?」
眼帯をした女性が成瀬に問い掛ける。
「うむ、
「ほ〜これはこれは」
朱二郎は霧江を下から上へ舐め回すように見ると、朱二郎はいくつか霧江に質問する。
「霧江ちゃんは歳幾つ〜?」
「十八歳です」
「へ〜スリーサイ……」
「殺しますよ」
「怖いね〜」
霧江が朱二郎に殺意を持った目で睨んでいると、成瀬社長が間に入った来る。
「孫のスリーサイズは上から九じゅ……」
「お、おおおおじいちゃん!! な、なななな何を!!」
「何って、私は社長だぞ。組織の人間ぐらい分からなくてどうする。それと何度も言うがおじいちゃんではなく、おじいちゃまと呼べと、何度言え……」
「うるせぇこの変態ジジイ!! ……八ッ」
霧江が成瀬社長に激昂にしているところを朱二郎の視線で我に返り、コホンと息を整え、先程までの冷静な霧江に戻った。
朱二郎はそんな二人のやり取りを楽しそうに眺め、髭を触りながらニヤついていた。
「あ〜俺のことは気にしなくていいからさ〜続けて続けて〜」
「殺しますよ」
朱二郎と霧江の二人のやり取りを楽しそうに眺めていた成瀬は、本来の目的である話しを語り始める。
「イチャイチャしているところ悪いが、今日二人を呼び出したのは、朱二郎君に話した件と、実はもう一つある。先程話した件は朱二郎君が後できーちゃんに伝えておいてくれたまえ」
朱二郎はさっさと言えとばかりにだるそうに髭を弄りながら、霧江は赤面しながら、成瀬の次の言葉を待っていた
「二人も知ってると思うが、最近近場で残忍的なやり方で殺人が連続で行われている。因みに先程もある一軒家で一人殺害されたそうだ。その一人を合わせて計五人が殺害されている。そこで君た……」
「その殺害した犯人を殺ればいいんでよね〜」
「うむ、その通りだ」
朱二郎は成瀬の話しが長く、我慢出来ずに先読みをした。
朱二郎の右足はついには靴の踵で小刻みにコンコンコンと鳴らし始める。
成瀬は朱二郎の我慢が限界に近いと察し、結論を言うことに。
「ではこの二人の女の始末を頼む。もう下がってくれて構わないよ。長くなってすまなかったね」
「失礼しま〜す」
「失礼します」
朱二郎は成瀬がそう言うとともに、すぐに社長室から出ていき、霧江はお辞儀してから退室した。
二人が退室し、霧江がドアを閉めたことを確認した朱二郎は、愚痴を零しながら廊下を歩き始める。
その後を続くように、霧江も朱二郎の後を付いて行く。
「いや〜君のお爺ちゃまさ〜昔っからそうなんだけどさ〜話し長いよ〜」
「ご迷惑をお掛けしました」
「いやいや〜君は悪くない悪くない」
「はぁ……」
朱二郎は右手をひらひらさせ、大丈夫と霧江に伝えると、先程成瀬から受け取ったファイルの中身を確認する。
「ふ〜ん、どれどれ〜……ん?」
「どうしましたか?」
朱二郎はファイルの中から一枚の資料を霧江に見せる。
「いや〜ね、あの二人の資料の他にね〜君の詳細が書かれたものが一枚入っていてね〜」
「なっ!?」
「ふ〜ん、なるほどなるほど〜これはこれは細かく書かれてるね〜スリーサイズの他に、君の私生活のことま……」
「よっ、よよよ読むなーーーー!!!」
霧江が必死にその資料を奪おうとするが、朱二郎は抵抗し、資料を持っていた右手の方を高く上げ、取られないようにしていた。
朱二郎と霧江は身長にだいぶ差がある為、霧江がジャンプして取ろうとしても、全然取れない。
「お〜これこれは、きーちゃんさ〜そんなにジャンプしてたらさ〜君の巨乳を支えるクーパー靭帯が切れて垂れちゃうよ〜」
「うっ、うるへーーー!!!」
朱二郎は霧江をからかうのに満足したのか、霧江の資料をファイルを戻した。
「ごめんごめん〜ちょっとからかいすぎたね〜お詫びにご飯でも奢るからさ〜きーちゃん朝ごはん食べたか〜い?」
「ま、まだ食べてないですけど、宜しいんですか?」
「おけよ〜じゃあ仕事する前に腹ごしらえしときますかね〜」
「ありがとうございます」
二人は仕事をする前に、外で朝食をとる為、ムベンガから出ることに。
朱二郎は歩きながら、半透明のファイル越しに霧江のプロフィールを見ていた。
――なるほどなるほど〜お孫さんとペアーを組まされた理由が分かったよ〜……。
「じゃあ〜遠慮なく〜」
「何か言いましたか?」
「いやいや〜何でもないよ〜きーちゃん」
「その呼び方止めてもらってもいいですか?殺しますよ」
「怖いね〜」
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