ごく当たり前な日常w 1

 千葉県 市川市 某一軒家


 それは可愛げのある部屋だった。


 全体的にピンク色や白色といったイメージのベッド、机、本棚などの家具が配置され、本棚には少女漫画、恋愛小説、美容関係の本などが入っており、如何いかにも女の子の部屋という表現にぴったりな部屋だった。


「うぅ……」


 そんな部屋の中で、大きなクマのぬいぐるみを抱き枕にして眠っている少女が居た。


「ん~……ハッ」


 少女は目をますと、自分がうなされていたことに気付く。


「またこの夢……」


 ここ最近、少女は同じ夢ばかり見ては、魘されて起きてしまうというのが続いていた。


 少女はそんな夢を毎回見ていることに呆れながら、ベッドから起きて上体を起こし、背筋を伸ばす。


「ん~……あっ!」


 背筋を伸ばしたせいか、胸が張ってしまったことで、寝巻き服の第二ボタンがパチーンと弾け飛んでしまった。


「テヘペロ☆」


 片方の手で拳を作り、頭にコツーンと叩くと、ある重大なことに気が付く。


「あ、いっけない! もうこんな時間!」


 少女は勢いよくベッドから出ると、二階にある自分の部屋から飛び出し、階段を勢いよく下りて、一階の洗面所に向かう。


――今日は日直だから早めに行かないと行けないんだった!


 洗面所に着いた少女は顔を洗い、その次に歯を磨き始める。


 歯を磨きながら洗面所に設置されている鏡で自分の顔を見ると、目の下にちょっとしたクマが出来ていた。


――も~クマ出来てるし~ここ最近あの変な夢のせいで、あんまり寝れてないな~。


 歯を磨き終わった後、少女はぐに二階へ上がり自分の部屋に戻り、身支度をする。


 寝巻きを脱ぎ捨て、ブラジャーを付け始めるが、中々思うようにホックが閉まらない。


――ん~また大きくなったかな?


 無理やりホックを閉め、制服に着替えると、机の上に置いてあったカバンを持って部屋を飛び出す。


 二階から一階への階段をまた勢いよく下りると、リビングへと入っていった。


「ママおはよう! 御免もう学校に行くね!」


「ちょっと小花、朝ごは……」


 少女は食卓に用意されていた朝ごはんのトーストを一枚取り、口に咥えると、リビングを飛び出して玄関へ向かった。


「いってきまふ!」


 玄関で靴を履き、勢いよくドアを開けて学校へ向かう。


――走れば何とか間に合うかも!


 何処どこかの少女漫画のヒロインのように、口にトーストを咥えながら学校へと走って行った。


――私、苺谷いちごたに小花こはな!何処にでもいるごく普通の十六歳の高校二年生!今日は日直で、朝はやくからお仕事があるんだけど、いつも通りの時間帯に起きちゃった!どうしよー!


 少女、苺谷小花が言うごく普通の高校生というのは自称に過ぎない。


 何故なぜなら苺谷は、『呪われた子』なのだから。

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