第7話 妖精さん

「さて、いよいよ私の番ですね!」


 えへんと胸を張っていたのも束の間、妖精はいきなりしゅんと肩を落とした。


「……あの、とくに説明することがありませんでした」

「えぇ……」


 妖精というファンタジー要素の塊みたいな彼女について説明することがないと言われても信じられなかった。

 しかし、話を聞いてみると納得できる部分もあった。

 ようするに、彼女達『使い魔ガチャ』のキャラの本領は持っている能力の説明になるらしい。

 しかし、俺が能力ガチャで「なし」を引いてしまったため、とばっちりを食らった彼女は俺に説明すべき能力を持たずに排出されてしまったわけだ。


「能力なしのRなんて……こんなの強化素材じゃないですか……」


 そんな言葉を残し、彼女はふよふよと飛んでいく。

 その後、彼女は舞い散る落ち葉のような軌道を描きながら、ツンデレ美少女の傍で倒れた。


「……でも、飛んだりできる訳だし。実際は完璧な無能力って訳じゃないよな」


 俺はピー〇ーパンに出てくる妖精のことを思い出しながら、追加要素的な能力がなくたって君は君のままでいいよ的なことを後で言ってやろうと心に決めた。

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