第2話 引いたアイテム(?)を見てみよう。

 アイテム説明によるとツンデレらしい美少女に蔑みの眼差しを向けられながら俺は提案する。


「ひとまず、言いたいこととかいっぱいあると思うんだけど……先に現状の把握に努めないか?」


「……そうね。あんたの『嫁』はいつでもやめられるし、ひとまず置いといてあげるわ」

「あー……私も賛成です。使い魔的にもこの流れはマスターのサポートができそうで願ったり叶ったりです」

「そもそも、ここってどこなわけ?」

「そりゃ、地球の日本だよ? 俺が生まれた」


 「だから、どこよそれ……」と不満を口にする美少女をよそに、妖精がおずおずと手をあげた。


「えっと……マスター、残ったそのメモを見せていただけますか?」


 俺は手に持っていた数枚の紙切れを妖精に手渡す。

 すると、彼女はそれをペラペラと小さな両手でめくりながら「あれ?」と疑問をこぼした。


「マスター、この転生先ガチャ何ですが……」

「うん?」

「別紙の提供割合をみると『地球』の『日本』しかありません」

「……なんで?」


 ぽかんと口が開く俺に、妖精は困り顔で首を傾げる。

 すると。


「ちょっと、それかしてみなさいよ」


 と、美少女が紙切れを取り上げた。

 「ふむふむ」と頷きながら紙切れとにらめっこする彼女。

 しばらくもしない内に、美少女は「なるほど」と口にして顔を上げた。


「この転生先って、本人の言語力適正によって提供内容が変わるみたいね。つまり、あんたがこの『日本語』? しか話せないし、学習できないと思われたから、提供アイテムが『日本』だけになったのね」


「え……えぇ」


 そりゃ、急にアメリカとかそれこそ言葉のわかんない異世界に飛ばされても困るけど。


「だったら、ラノベやマンガにでてくる異世界転生ってなんなんだよ……」

「まあ、所詮ご都合主義の作り物ってことね」


 バッサリと切り捨てる美少女の言葉に、俺は落胆を隠せなかった。

 俺はね、異世界転生くらい……夢を、見たかったんだ……。

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