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「そっか。それじゃぁ寂しくなるね。ユリアちゃんとカリンちゃん、仲良しだったでしょ」
年も違いからか、何度も一緒に歩いているところを見ているし。
「んー」
でもユリアちゃんはあっけらかんと答えた。
「別に」
いや、別にって。
「別にカリンと一生会えない訳じゃないし。確かに一緒に仕事が出来ないのは寂しいですけど、それはシフトが被ってないときだってそうだったし」
「まぁ確かに」
「だから別にどうってことないです。多分、忘れちゃったけど、引っ越し先もそんなに凄く遠いわけじゃなかった気がするし。会おうと思えばいつでも会えるし。それに、引っ越しした家に行けるのとかめっちゃ楽しみだし」
そう言ってユリアちゃんはニッと笑った。相変わらず、何処か幼い笑顔が可愛らしい。
「そっか、それじゃぁちょっとのお別れなだけなんだね」
「はい。でもめいっぱい賑やかにしたかったから風船買って来たんです」
ユリアちゃんはもう一度両手の紙袋を持ち上げてみせた。
「あたしと違ってきっとカリンは寂しがるだろうから。楽しい思い出で一杯にして行ってほしいんです」
「そっか。きっとカリンちゃん喜ぶね」
「はいっ」
それじゃぁ、と言い残してユリアちゃんは楽しそうに去って行った。別れを“寂しさ”ではなく“楽しい”で一杯にさせたいなんて、そう考えられるのもさすがはユリアちゃんだなぁ、なんて。
どうか今日の思い出で、ユリアちゃんが笑顔で引っ越し出来ることを祈って。
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