#ライトレ60分勝負(自主トレ)

ささかま

1「あたしだけが知ってるアイツの内情」3/7


お題『ギター・バンド・文化祭』

指定 800字以上・制限時間60分

実際 918字・65分


 タイトル「あたしだけが知ってるアイツの内情」 

○宇崎高校・前(朝)

 『宇崎高校』と書かれた表札。

 校舎には、『宇崎高校 文化祭』と書かれた垂れ幕。


○同・体育館・前(朝)

 老朽化の進んだ体育館。


○同・同・中(朝)

 上はクラスTシャツ、下はスカート姿の雨宮凛(17)が、自分の手を見つめている。

 視線の先には、硬くなった凛の指先。

凛「……」

 凛と同じ格好をした佐々木美里(18)が、欠伸をしながら体育館に入って来る。

美里「おっ、仕上げてきたねぇ〜」

 美里、片手を上げながら凛の方へ歩いていく。

凛「……そうかな」

 凛、美里の方を見て嬉しそうに呟く。

美里「ごめん、すっごい適当言った」

 美里、ヘラヘラと笑う。

凛「……」

 凛、再び指先を心配そうに見つめる。

 美里、凛の指先を覗き込み。

美里「指先、硬くなったねぇ」

凛「……うん、気がついたら、なってた」

美里「それだけ頑張ったってことだよぉ。ずーっと弾いてたじゃん?ギター」

美里「受験勉強なんてそっちのけでさ」

凛「……弾けないの、悔しくて」

美里「(笑って)あんたがそんな事を言うなんて思わなかった」

凛「……上手く出来ないのが悔しいって、そんなに不思議かな?」

美里「いや、それは普通なんだけどさ」

凛「?」

 美里、凛から背を向ける。

美里「あんたって、いつも落ち着いててさ、何にも打ち込まないつまんない奴だと思ってた……って」

 美里、慌てて凛の方を向き直し。

美里「あ、思ってたってだけだから!」

凛「うん、今は違うって思ってるんでしょ」

美里「当然!あんたは本当はアツい奴だって分かってる」

 凛、照れ臭そうに笑う。

美里「みんなにもさ、分からせてやろうよ」

凛「……うん」

美里、凛へ向けて拳を突き出す。

 美里「ん!」

 凛「……美里、今時そういうのって古いと思う」

 美里「うっさい」

凛、笑いながらも美里の拳に軽く拳を当てる。

 凛「……美里も同じじゃん?」

 美里「へ?」

 凛「いつも適当に、飄々と生きてる奴だと思ってたけど、以外と暑苦しい」

 美里「うっさい!」

2人、笑う。

 (終)

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