第11話閑話休題祖母とブルートレイン

父の仕事の都合で祖母を叔母の家へ預けることになった。送迎は私。遠く北海道の地まで祖母と2人で移動だ。いつもよりも気を引き締めなければならない。乗り換えは祖母が大変だからと乗り換えの少ない北斗星で行った。行きはよかった。何事もなく無事叔母の家へ着いた。問題は帰りだ。途中下車しないようにと私は寝ずに見張っていた。が、疲れもあったのか一瞬寝てしまった。その一瞬で祖母が消えた。車両の中をいくら探してもいない。車掌さんに聞いたら「そのおばあさんなら○○駅で降りたよ」と。慌てて次の駅で降り、車掌さんに前の駅で祖母が降りたのだけど似た老人はいないか確認してもらった。祖母はベンチでずーっと座っていたらしい。保護してもらい、急いで新幹線で前の駅まで戻った。祖母を迎えに行くとおむつはビシャビシャで寒さもあってか辛そうだった。その駅から急遽新幹線に乗り我が家の最寄り駅までどうにか帰ってくることができた。家までタクシーで向かう途中、タクシーの運転手さんとこんな大変なことがあったんですよーとか話してたら「そっかー、おばあちゃん北海道からきたのかー。じゃあ桜まだでしょ?メーター止めちゃうから遠回りしてお花見していこうか」と綺麗な桜並木の道を選んで帰ってくれた。すごい疲れてたのだけど気分が晴れやかになった。あとで父に、そういうときはお礼がしたいからタクシーの運転手さんの名前をみてきてよ!と怒られた。

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