第5話閑話休題…お母さん

低学年の頃近所に住んでいたおばさんが好きだった。椎茸嫌いの子どものために餃子に小さく刻んで入れたり、泊まりに行くとパンを焼いてくれてジャムまで塗ってくれた。あー、この人がおかあさんだったらなぁといつも思ってた。私の学校の音楽の発表会の時も母が来られなく、代わりに来てくれた。母が来るより嬉しかった。笑顔で褒めてくれるから。

その後、感動したおばさんはご主人に頼み込んでくれて大切なピアノを私にくれた。そのおかげで貧乏な我が家にもピアノがあり今でも私はピアノをやっている。

話が逸れた。

バレンタインの時におばさんにチョコを持って行った。すごいビックリしてとても喜んでくれた。母にプレゼントをあげても「こんなの欲しくない」と言われるのが常だったので本当に嬉しかった。なので母の日にお小遣いでカーネーションを買っておばさんに持って行った。何度チャイムを鳴らしても出なかった。何回も足を運んでもいなかった。きっとおばさんの家のことだから母の日だとみんなでお出掛けしたんだろうなと思った。でもそれでもチャイムを鳴らした。でもやっぱりいなかった。鉢に入ったカーネーションを自分のベランダにこっそり隠した。「これどうしたの?」と母に聞かれたけど何も言えなかった。kyukoちゃん、かわいいねかわいいね、うちの子にしたいよってやっぱり社交辞令だったんだ。それからはおばさんに母の日のプレゼントを用意するのをやめた。私のお母さんはやっぱりあの人なんだ。

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