雪の華

 早朝、ぼくは人間から隠れて散歩していた。雪の日にまでキツネを狩るヤツがいるなんて。


 しばらく進んだ先、ピンクの何かがある。白銀の世界で見つけた春色。興味本位でそっと近づく。


「寒牡丹だ!」


 一輪だけで咲いたその花が寂しくないように、ぼくは味方だと伝えるために、優しく花をなで雪を払った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

140字小説集 ひとくくり @inclusive

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ