第2話 恋のお相手選びの可能性

 さて、ヒロインの親友はやめることにした私だけど。

 このゲーム当然攻略対象のイケメン達もいるわけで。

 私の地位的にも、十分チャンスはあるのではないかと思う。

 容姿だって整ったし。

 家柄だってわるくない。

 ただ、私がそのために死の危険のある困難に立ち向かうなどは、この世界で死んだらどうなるのかを考えると怖くてできないな。

 うーん………。


 そこで私は思い出す。

 このゲーム、攻略できもしないのに、スチルにうつりこむなよ!っていう無駄にイケメンのキャラクターがいるのだ。

 攻略不可能の癖に画面に無駄にうつりこんでしまうイケメン、通称無駄メン。


 運営のお遊びだろう、ヒロインが学園での生活を象徴するシーンのスチルのヒロインの後ろには決まって一人、無駄遣いとしかいいようのない攻略できないイケメンがいるのだ。


 彼らは攻略対象ではない。

 なので、当然名前は出てこないし、ストーリーにも全く絡むことはない。

 しかし、ヒロインの後ろでその美貌によりバッチリの存在感を放つのだ。

 あまたの女性たちが、このゲームに挑み、いつかこの背景に映りこむイケメンのルートがあるのではないかと戦い、そして夢破れてきたのだ。

 でも、この世界に入ってしまえば、スチルには映りこむだけのイケメンも生活してるわけだから、会えるのではないか。



 学園に召喚されたヒロインの後ろに、突っ立っていただけの赤い髪の騎士っぽいイケメン。

 試験のシーンで、ヒロインの左後ろで試験を受けていた、眼鏡のイケメン。

 召喚の授業中、なんかひよこっぽいのを召喚して困ってる感じの召喚獣とタイプ違いすぎるだろうってワイルドなイケメン。


 極めつけが、王子様ではないのに、金髪碧眼イケメンと兼ね備えて、校外実習の際に白馬と戯れるイケメンだ。

 お前はいったい何者なんだ、誰なんだ、なんでここにしか出てこないんだと何人もの女性が泣いたはず。


 どうしよう楽しくなってきたかもしれない。

 少なくとも学園に入学しちゃえば彼らに会える。

 もう、グイグイいこう。

 ゲームでは、ヒロインのフォローばかりだったけれど、今回は絶対にフォローしない。

 ということは、時間もいろいろあるし、学園のメインイベントでもフリーなわけだから、あっちが誘ってこないとしても、私から声をかければ誰か一人くらいは、一緒に参加してくれるかもしれない。


 とりあえず、私の恋の可能性は無限大。

 楽しくなってきた。


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