第15話幼少期
私は、無理やり過去を思い出したが、まだ幼い頃の記憶はほとんどない。
でも、小さい頃の記憶なんて鮮明に残っている人はあんまりいないと思うから、そんなに気にはしてないが…。
ただ、幼い頃から私は何故か心が満たされていなかったように感じてしまう。
保育園での1番古い記憶は卒園式の前にアルバム用の表紙を作るのに、絵を描いた時の記憶。
先生は「この用紙に好きな絵を描いて。」そう言って、1枚の画用紙を渡してきた。
私は思うがままに集中して、描いていた。
しばらくして、
先生「これ誰?」
私「母!」とっさに嘘を吐いた。
本当は自分なのに…。
私が描いた絵は、真ん中に1人ポツンと怯えている自分と遠くに母が怖い顔をしている絵。
それは、書き殴るように描いた、グチャグチャの酷い絵だった。
全て、茶色や黒色など暗い色を使っていた。
先生「書き直す?」
私「これでいいの!」
私は描き終わった後、なんだか分からない恐怖心も感じていたが、スッキリした気分になった。
卒園式の日に、アルバムが渡された。
はっ!っとした。
私がいつも描いているような絵じゃない。
もっと上手く描けるはずなのに…。
現在、そのアルバムが見たくなって、探したが見つからない。
心が満たされなかった何かがある。
凄く気になるが無理やり思い出すのは良くないと、通っている精神科の先生が言っていたので、あまり気にしないようにしよう…。
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