Ch3.アイ


 それは信仰だった。

 尽くせども尽くせども、決して終わることはない。狂信に近いものでありながら、純粋さを保っている歪なもの。

 それは言葉で、同時にモノでもあった。

 音の連なりで空気を揺らし、文にしたためて記録とする。モノを用いて証左とし、欺瞞に踊らされながらも疑うことを知らない。

 親から子供、子供から親、兄弟姉妹、隣人、同級生、同僚、年上、年下、同い年、異性、同性。

 有象無象に有償無償。拾えども拾えども、零れ落ちゆく儚い交わり。求めたところで、手に入るかは運次第。想えば想うほど、あなたの心を蝕んで行く、呪い。

 あなたは疑問に思ってはならない。あなたは複数を信仰してはならない。あなたは支配してはならない。あなたは尽くさねばならない。あなたは拾わねばならない。

 あなたは、愛さねばならない。

「信じていたのに!」

 ああ、きっとそうだろう。

 けれど、君には信仰が足りなかったね。

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