ココロユウギ

鵠真紀

第1話


 気がつくと私はそこにいる。


「あなたは死にました」

 “私”が言った。

 なるほど、私は死んだのか、と私は思った。

 実感として、自らの死があったわけではなかった。ただ何となく、自分は死んだような気がしていた。

「あなた、は、死に、ました」

 “私”が言った。今度は奇妙に言葉を区切って。

 わかったよ、私は死んだんだな、と私は思った。

 二度も言わなくても、聞こえてるって。

 そこにはその”私”以外に何人もの”私”がいた。皆一様に、私のことを見つめている。

 ジッと、凝視している。

 なんだよ、そんなに見るなよ、と私は思った。

 しかしながら、見られていることの心地よさもあって、それはそれで許せるような気もした。

「コンテニューしますか」

 “私”は言った。

 なんとなく、その意味を察した。

 私は迷うことなく、首を縦に振る。

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