第3話食べて

嘘を付いて貴方を呼び出す


夜景が見たい、車で迎えに来て

寒いから部屋まで来て

前に忘れたコート持ってきて

準備に手間取ってるから車はちゃんと停めてきて


いつも我儘な私だから貴方は疑いもせずに

言われた通りに部屋まで来る

部屋の準備は万端

貴方の好きな料理も作った

お酒に強い貴方だけど

飲んだら絶対に車で帰らない

大切にしてる車を置いて行くこともしない

狡いやり方かもしれない

今夜は帰さない帰って欲しくない


絶対に部屋まで送ってくれても

中に入ろうとしなかった貴方

今日は入ってもらうから

私が酔って甘えるから

私を女として見てちょうだい

なんだったら私を食べてくれてもいいの

小さな頃から貴方しか見ていない

貴方以外に触られたくも無い

手を繋いだり抱き寄せられたり

そこまでは今までもあったけど

雑踏の中の仕方ない行動

髪を撫でるのも

唇に触れるのも

貴方が初めて

今日は仕方なくじゃなく

貴方の意思で触れてほしい


ほら部屋に着いて驚く貴方

貴方の為に用意した料理

貴方の好きなお酒

名目はいつも奢ってもらうから

少しはお返しするつもりで

戸惑う貴方を部屋に上げ

無理矢理座らせお酒を勧める

飲んだわね?もう帰さないから

私も飲んでしなだれかかる

お願い少しは女と見て?

緊張と恥ずかしさで早く酔ってしまった



気が付くと朝

狭いベットに二人

抱き合う様に寝ていたけど

やっぱり何も無かったのね

覚えていたかったから良かったような

それでも進展しない事が残念な様な

酔った女と抱き合っても何も無い

貴方にしたら兄妹と同じなのね

でもこんな年で兄妹でも抱き合って眠らないのよ

ただそれだけでも私には嬉しかったけどね

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