二十三階

 二十三階。


 橋。水のない深い水路を渡っている。

 水路の底を人が歩く。足音は壁に反響して昇り、橋の上のあなたの耳に届く。

 あなたは声を上げる。足音が止まる。見上げる白い顔。

 底の人が声を上げる。声は壁に反響して昇り、橋の上のあなたの耳に届く。

 届いた声は響き、響き、ばらばらの音へと解体されている。音は意味を保てない。あなたは意味を聞き取れない。

 やがてあなたも相手もあきらめる。遠ざかる足音だけがまた昇り、あなたのいない橋をかすめて天井に届き消える。


 二十四階へ。

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