二十一階

 二十一階。


 階の中央に一基の墓。花が供えられている。

 あなたは墓碑銘を読もうとする。読めない。それは文字ではない。

 文字のように刻まれていたのは眼。大小さまざま、数えきれないほどの眼、眼、眼、が、白い墓石に黒く刻まれ、みなばらばらの方向を視ている。

 ひとつ視線のあう眼がある。あなたはそれを見つけてしまう。

 視界の隅で供花が揺れる。あなたの好きな花だった。


 二十二階へ。

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