十九階

 十九階。


 あなたの掌で卵が孵り、陶器の飛行機が離陸する。音もなく窓を出て、明け方の白になじんでいく。

 追いかけるすべもなく、あなたは殻と残される。飛行機雲だけがまっすぐに、東の空まで線を引き、やがてはそれも解れて消えた。


 二十階へ。

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