十二階

 十二階。


 扉は内側からひとりでに開き、開いた先にベルボーイ。みな制服に身を包み、いそがしく立ち働いている。到着客はあなた一人。

 手渡された鍵の数字があなたには読めない。完璧な笑顔の一人があなたを部屋まで案内する。何ごとか喋っている。愛想がいい。聞き取れない。

 鍵が開く。純白のシーツのベッド。あなたは眠る。ふかぶかと眠る。

 目が覚める。部屋から出る。人気がない。誰もいない廊下、誰もいないロビーを抜け、あなたはフロントに鍵を置き、さらに上階へと出発する。


 十三階へ。

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