第20話 獣も狩人も両方いるんですね

おなかすいた。おなかすいた。おなかすいた。

ごはんはどこだー。


目玉がぐるぐるしています、倒れそうです、さすがにもうだめかもしれませぬ。


昼に森に入って夜を3回くらい超えた気がします。

なんなんですか?ここどこですか?舗装されていない、整理されていない。整地されていない、ずっと同じ光景が続いているのに視界が狭くて遠くまで見渡せない。

こんな森の中なんて、嫌いです。


仰向けになって、ふて寝なんてしていたって気が晴れません。

葉っぱをどれだけ集めてもふかふかのお布団の代わりになったりなどはしないので

地面の硬さに慣れたりなんかしないんです。街中で育ったわたしですので


こういう木漏れ日の中眠るのもなかなか風情があるかもしれませんけど。

もしも、お家に帰ることが出来たなら、屋根に穴でもあけて寝ながら空が見えるお家にでもしてやりましょうかね。



ご飯のにおいがする。

まさか?人が住んでいる場所の近くまで来ていたんですか?天才ですか?わたし


ご相伴にあずかりましょう!いざ、風上の方へ。


なにも、ありませんね。

いえ、正確には、食べ物は何も、と言うべきでしょうか?

たき火の痕跡?と、匂いだけの食事の跡……じらされているんですか?えっちですか?


こうなったら食事の香りだけで満腹になってやりますよ。今日の寝床はここに決定ですね?葉っぱを集めるのも面倒なので、このまま倒れ込んでしまいましょうか。


視線を感じる気がしますが、ちらちら観ても離れていかないので善意の施しをする機会をうかがっているのでしょう。

そうに違いありません。期待していますよ?顔も名前も知らないあなた。

出来れば、さしあたってのわたしへの善意の施しは食料がいいかなー


それでは、おやすみなさい。

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