第218話 じゃあ自分で呼べ

「すいません、代行呼んでもらえますか?」

「はい、ただ時間が時間なので、一度電話切らせてください」

「はい」


 酒でも飲んだんだろうか、代行で帰るようだ。

 しかし深夜の代行、タクシーはなかなか捕まらない週末の深夜とはそういうものだ。


 案の定、電話にも出ない。

「すいません、電話すら出ないですね」

「じゃあタクシーで」

「はい」

 タクシーは1台捕まった。

「10分で来るそうです、御一人は車で残るんですよね?」

「いいえ、車で帰ります」

「ん?御一人タクシーで帰られるんですよね」

「足が痛くなって…それで」

「何言ってるんですか? あなたの足はどうでもいいんですけど、タクシー10分で来ますよ」

「いや、自分でインターの駐車場から呼ぶんで」

「はい?じゃあなんでコチラに呼ばせたんですか?」

「………はい…すいません」

「迷惑なんで、御自分でタクシー会社に連絡してキャンセルなり、なんなりしていたけますか? 元からコチラに電話する必要ないでしょ!!」

「はい…」


 結局、車で出て行った…。

「何なんですかね?」

「なんでもネェヨ…バカなんだろ」

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