第35話 誰がために?

「お客様のために…」

 ウチの社長の口癖である。

 辟易している。

 バイトの客に対する嫌悪感が半端ないのがラブホテルという所ではないだろうか?

 薄毛の客が入るだけで気分が落ちる…また抜け毛の始末かよ。

 髪を洗い、ドライヤーを使われるだけで気分がイラつく…どんだけ抜けるんだよハゲ女!!


 まぁとにかく客が嫌いなのだ。


 あんまりラインで、うるさいので…。

「お客様のために設備不良の部屋、全て点検中にしました。申し訳なくて売れません」

 送ってやった。

 23部屋中6部屋、なかなかの的中率だ。

 本音は、ダメでも部屋売って金にしろ、クレームはお前達が上手く収めろである。

 結局、誰も客の事なんて考えてない。

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