夏祭り(原作:流々@ballgag)

 こうなった理由はおおよそあらすじで述べたとおりです。ネット上でリサーチはしたのですが、最初に考えたプロットを成立させるだけの情報が集まらなくて断念しています。結果として、オリジナルに忠実な内容になったのはよかったのではないでしょうか。


 しかし、先述の通り、主人公やそれに類するキャラクターを伝統とじかに接続するのはどうにも性に合いません。ましてや、それをハッピーエンドっぽく書くとなるとなおさらです。もっと噛み砕いて言うと、「いい子」をただ「いい子」として描きたくないんですよね……だって、それって抑圧じゃないですか。


 書き手は自分が確信を持てない言葉は使うべきではないと思いますし、そうであればこそ、他人の作品を借りるときはまず徹底して自分なりの解釈を打ち出すのですが、今回はかなり及び腰になってしまいました。同じプロットでも他の方ならもっと生き生きと描けたのではないでしょうか。


 ちなみに最初のプロットだと、舞台はもっと田舎でした。村民全員が幽霊で、祭りの後、慎二君をあの世に連れてっちゃうというオチ。やっぱり田舎に行くとろくなことにならないっていう都会っ子のひよわさばりばりの話なんですが、そうであればこそ惹きつけられる、という部分を慎二君に託したかったのです。


 祭祀を「ケガレを祓うもの」と位置づけ、それが行われなくなったらどうなるのかというのを描きたかったのですが、なまじ伝統の途絶がテーマだけに情報を集めるのが難しかったです。また、ミステリとしてもやっぱり中途半端ですね。

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