ハレンチ学園演劇部オーディション(青瓢箪@aobyotan)

 知性と教養が試される題材でした。こういうのがさらりと書ければかっこいいのでしょうが、あいにくと学がないのでソフト面に限らず尽くせる手はすべて尽くしています。


 原作の勢いに勝てる気がしないのもあって、コミカルなノリを排し、淡々と描いています。プロットとしては、自作でボツにしたものを流用してたりします。あらすじでも述べたように、小川洋子を意識していたのですが、どうでしょうか。


 ネタがネタなので、対比される要素としてキリスト教を用いました。隙あらばキリスト教です。学校名まで変えるのはどうかと思いましたが、結果として、プロットにひねりが生まれましたし、宗教画の歴史も織り込めたのでオールOKではないかと。


 取り上げられる作品はいずれも元から充分エロいわけで、駄洒落に頼る必然性はないのですが、教会に抑圧されたエロスに光を当てるためあえて露骨な強調をしてみました。さらりと読み流した方もいらっしゃるかもしれませんが、「三島由紀夫が精通した」っていうのは思いっきり下ネタです。『モナ・リザ』に欲情する吉良吉影の方がよっぽどマニアックですけど。また、コメントでも書いたようにモンロー主演『七年目の浮気』もまたヘイズ・コードと呼ばれるハリウッドの自主的な表現規制と戦った作品だったりします。


 主人公像が見えてきてからは、とても書きやすかったです。こういう子が一番書きやすいですね。とぼけた語り口が好きなのもありますが、突飛な状況を受け入れさせるのが楽でいいです。そして、最後に自我を芽生えさせればそれだけでオチがつく。ある種の私TUEEEなんですが、個人的に「主体性なき最強」というモチーフが好きだったりします。「次は何をすればいい?」みたいなね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る