第5話

「それにしても、ちょっと意外なんだよな」

「あら、何がですか?」

 ピューレの問いに、俺は言葉を探す。

「いや、何て言うかほら……俺は勿論、クルルもミルもピューレも、みんな違う星の出身だろ? 言葉が通じるのは超高性能な翻訳機があるから、で納得できるんだけど。でも、言葉が通じるだけで一緒に暮らせるようになるかって言ったら、それはまた別の話だろ?」

 言葉が通じたって、同じ種族でさえ、喧嘩になるわけだし。……俺と親父みたいに。

「そうですね……その辺りは、クルルが色々と頑張りましたから」

 だから、ぶつかり合う事はあっても、それなりに上手く共生できているんです。そう言うピューレに、俺は好奇心に満ちた眼差しを向ける。クルルが何をどう頑張って、現在のメンバーになったのか。その辺りは、かなり興味がある。

「クルルは基本的に、何らかの要因で滅びてしまったばかりの星ばかりを巡っていました。それで、立ち寄る前にまず、その星の種族について徹底的に調べたんです。姿形や性質、生活習慣。それに、文化。それらで折り合いをつける事ができる種族同士でなければ、共生は難しいですから」

 それで、共生するのに問題が無さそうな種族であれば、共に新天地を探さないかと話を持ちかけて、相手が諾と言えば仲間に迎え入れる、と。そういうわけか。

「ショウは、眠っていた機器に地球人である事が明記されていましたから。クルルは、地球人については特によく調べてその歴史や文化を知っていましたし、更に追加で色々と調べていらっしゃいました。それで、千年前の地球の……日本人なら、恐らくそれほど害は無いだろう。あとはショウが目覚めて、性格に問題が無さそうであれば仲間に迎え入れよう、と。そういう話をしてから、ショウを目覚めさせたんです」

「そう言えば、ミルも言ってたっけ。クルルが必死になって調べたって」

「クルルは、種族こそ地球外生命体ですが、生まれも育ちも地球ですからね。時は違えど同じ星で生まれ育って、実際はどうあれ歳が近いショウを見付けて、嬉しかったんだと思いますよ」

「……そっか」

 何だか、ちょっとむず痒い。顔が綻んでしまいそうになるのを必死に抑えながら、俺はピューレと共に、操舵室へと足を踏み入れた。

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