第6話 フォレストウルフの巣
アンリから、吸血を、そして眷属化を受け入れる気配がある。
ごくり
大空を何処までも駆ける、そんな錯覚がエルクを支配する。
美味い。
ごく・・・ごく・・・
飲めば飲む程、無限に力を得るようだ。
そして、アンリとの結び付きが生まれたのを感じる。
同時に、アンリに闇の力が流れ込み、アンリの力が増していく。
エルクは牙を離し、アンリの首筋の傷を舐める。
アンリの首筋の傷が消えていく。
「はぁ・・・」
息が乱れるアンリの唇をそっと口で塞ぎ、アンリを抱きしめる。
ややあって、唇を離すと、アンリも体の変化が落ち着いたようだ。
「よろしく、アンリ」
エルクが言うと、アンリは嬉しそうに頬を染め、そっとエルクに体重を預けた。
アンリから魔力が流れ込んでくる。
今までは自分の体に溜めることが出来なかった魔力が、体に溜まる感覚。
エルクにとっては初めての経験だ。
「さて、まだ日は高い。アンリが大丈夫なら、もう少し進んでおきたい」
「はい、勿論です!」
アンリは元気にそう答えた。
--
フォレストウルフの巣。
何時の間にかそんな物が作られていた。
多い時には100体を超える数が生息し、エルクが剣だけで戦えば、油断していると危険、くらいの敵だ。
魔力を得たエルクの敵ではない。
「風刃、飛べ」
風の刃の魔法を構築、発動。
フォレストウルフの首を落としていく。
「血の槍よ」
アンリが血の魔法を発動。
赤い光の矢が無数に飛び、フォレストウルフ達の命を奪って行く。
尚、血の属性を持った赤い光であって、別に血を使う訳ではない。
魔物は、放置すると増える。
見つけたらとりあえず倒しておいた方が良い。
特に、普段使う道では。
「ふむ。やはり自由に魔法が使えるというのは良いな」
エルクが嬉しそうに言う。
「エルク様・・・格好良いです」
惚れ惚れとした様子で、アンリが言う。
エルクは何故ここまでアンリの好感度が高いのかは分からないが、詮索しないと決めたのだ、気にしないようにする。
--
夜。
エルクは、手早く野営の準備をする。
取ってきた獣を焼き、野草を煮て、料理を作る。
「エルク様、料理が出来たのですね!」
アンリがびっくりしたように言う。
「探索の時に野営をするからな。自然に覚えた」
「そうなんですね。何時もセリ・・・」
「セリ?」
「セリシアっていう名前の妹に全て任せていたので、料理って苦手なんですよー」
・・・気のせいだろうか。
何か言いかけて誤魔化した気がした。
が、エルクは詮索しない事にした。
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