第4話 九死に一生・・・?
どういう状況だ?!
エルクは混乱の極みになるが・・・声を絞り出す。
「君・・・貴方は・・・一体・・・?」
敵対しないのなら、生き延びるチャンスはある・・・そもそも、聖獣を放置して逃げても良いのか、と言う話が有るが。
聖獣はすっと立ち上がると、少し考える仕草をする。
・・・これは・・・選択を間違えた・・・?
「エルク様、私を知らない、でしょうか?」
聖獣が尋ねてくる。
向こうはこちらの名前を知っているので、知己の可能性は有るが・・・記憶にないないし、聖獣の知り合い等居るはずがない。
正直に答えていいものだろうか。
エルクは深刻に悩む。
「済まない。会った事があるか分からないが、記憶にない」
エルクが正直に答えると、聖獣はまた少し考え、
「エルク様、眷属はおられますか?」
この聖獣・・・エルクが眷属を探している事を知っている?!
「・・・居ない。今から探しに行くところだ」
そう答えると、聖獣は目を見開き、
「・・・まさか、エルク様の眷属探し・・・伝説の始まりに立ち会えるとは・・・」
・・・何故か聖獣は涙を流し感動している。
逃げても良いのだろうか、エルクは呆然とそんな事を考えた。
聖獣は、エルクの前に再び跪き、
「エルク様。私は聖獣のアンリと申します。エルク様の旅路に付き合う事をお許し下さい」
・・・どういう状況?!
だが、選択肢はない。
アンリの気が変われば、エルクは一瞬で殺されてしまうのだ。
アンリを眷属にできれば、エルクの力は飛躍的に増加するが・・・その隙は見せないだろう。
それに、エルクは、眷属を作る際、あるルールを決めていた。
それは、なるべく眷属の自由意志を奪わない事、眷属には自分の意志で眷属になって貰う事、そして・・・眷属に自分に対して恋愛感情を抱かせる事。
闇の力を受けて魔族化した場合、一般的には力が大きく向上する。
しかし、主人に逆らう抵抗の大きさ、そしてそれを抑え込むのに必要な力、これらの力が本来の力から引かれる為、実際に発揮される力は少なくなる。
なるべく眷属に自由にさせる事で、最大に近い力を発揮して貰う。
これがエルクが研究の末に導き出した結論だ。
無理はしない。
とにかく相手は自分を殺す気はないようだ。
気が変わらないようにしないと。
「分かった。付いて来ても良い。それに約束しよう。無理に眷属化しようともしないと」
「えっ、わ、私なんかがエルク様の眷属?!」
?!
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