晴れ

 雨の日にしか見れないものがたくさんと見れた。

 ファミレスで笑う親子、コンビニで雨宿りをする高校生、ずっと探していた君。

「……でも、声をかけることもないか」

 終わった恋を思い出せば、雨と似た何かが目から溢れる。溢れるものを拭い、前へ進む。――さあ、帰ろうか。

 自販機にて、持ち合わせていたお金で缶コーヒーを買う。帰り道の橋、一人ぼーっとコーヒーを飲んで、さっきまで考えてたことを思い出す。だけど、思い出せないってことは大事なことではない、と納得しまた歩く。

「何、考えてたんだっけっか」

 それでも、考えてたことを思い出そうとまた頑張るが、やっぱり思い出せない。納得をしても諦めが悪い。そんな、雨のにおいが残る晴れた午後のこと。

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