{第百六話} ブラックコンベンション

「菊田昌。ここにはもう菊田京一はもういない。返して欲しければ「BC」に出場して優勝しろ」

おじさんは馬車に乗せられ、何処かにつれてかれていた。

声の主はガウスであったが、今の昌達は知る由も無い。

「BCってなんだ」

「説明します「ブラックコンベンション」通称「BC」はバラクスのスラム外街で開催される1対1バトルトーナメント大会です。ルールとしては、基本的に何でもあり。重傷者が後を絶たず、過去には死者が出た事もあります」

ネラの細かい説明でBCの概要を理解した。

つまり、ヤツらはその大会のバトル中にGOSを奪う事が目的だろうと、簡単に推測できる。

BCに出場するのは、相手からすればカモがネギを背負ってやってくると言ってもいいだろう。

なにせ、この大会で昌を倒せれば主目的であるGOSを手に入れられるた上に、邪魔者である昌を始末できる。

戦闘を長期化させれば動力源の魔力を失ってネラとネイやミイも倒す事が出来てしまうかもしれない。

たとえそうだとしても、昌達にそれ以外の選択肢は無かった。

さてどうしようかと考えていると、床の金属板を持ち上げてブルーキャッツのマスター「エイム」が出てきた。

「あれ?エイムさん?」

床下から出てきて、辺りを見回してキズだらけの床や壁、大きなコンテナに押しつぶされたフロストを見て状況をを把握して口を開いた。

「無茶しやがって」

「地下通路なんで便利な物があるなら、わざわざ正面から入る必要は無かったじゃない」

エイムが出てきた地下通路を見てネイが言った。

そんな昌達に「帰るぞ」と言いい、地下通路の置くへ歩いていったエイムの後を昌達は付いて工場から出た。


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帝都の中心街に向かう馬車の中。

「どうして私たちがあの工場に居る事が分かったのですか」

ネラの質問は昌も気になっていた物だった。

「実はあの工場に設置された監視カメラの映像を俺達は見れる状況にあるんだ。その映像に君たちが映っていた」

ソアリンは監視カメラの映像が映されたデバイスの画面を昌達に見せて説明した。

「そういうことか。でも、おじさんがあそこに捕まっていたんだ」

昌は固く拳を握っていた。

「知っている。我々もその情報は得ていた」

「ならなんで教えてくれなかったんだ!」

おじさんを助けられなかった悔しさと早く助けないといけない焦り、肩に自分で載せて重くしていったプレッシャーによって追い詰められていた昌はつい、大声を上げてしまった。

「万全な作戦を立てた上で救出しようと考えていたんだ。気持ちはわかる、だからこそ教えられなかったんだ。京一同様君たちも大事だ。むやみに危険な目にあわすわけにはいかない」

声を上げた昌に対し、ソアリンは落ち着いた声で丁寧に説明した。

昌も馬鹿では無いため、ソアリンの考えは理解していたが納得しきれなかった。

「何故京一様の監禁場所にあの工場が使われていたんですか」

「ルキャメラとオイラーは裏でつながっているんだ」

ソアリンの話に驚きつつ、昌はフロストを倒した後に聞いた話をソアリンに話した。

「そういえば、さっきの倉庫で「おじさんを助けたければブラックコンベンションに出場して優勝しろ」って」

「何!?」

ソアリンとエイムは「ブラックコンペクション」という単語に反応した。


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おじさんを乗せた馬車の中

「彼は中々やりますね。しかし、どこまで理解しているのか」

ガウスは隣に座らせている京一に話しかけた。

「俺は昌を信じている。アイツは俺の気持ちをわかってくれるだろう」

馬車の窓から帝都の様子を見ていたが、ガウスの発言に対して目を見て反論した。


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大きな屋敷の一室、長方形で長い机の端と端に座って食事をしている2人の姿があった。

1人は昌と同い年位の少年がステーキを食べていた。

そんな少年と向かい合って座っている男は、あの「国王暗殺計画」を目論んだペックスだった。

2人で食事するには持て余す広さの部屋だ。

「明日から帝都で過ごすんだったな。不安かな」

「心配ありません、おじい様」

「そうか」

少年の発言に満足げなペックスだった。


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無事に家に帰った昌だったが、激しい戦闘で体中に痛みがあった。

夕食は面倒だった為、一人で適当に済ませた。

痣や擦り傷、切り傷が沢山あったが、昌は風呂を沸かし入浴剤を入れた湯舟に浸かった。

昌は浴槽の中で瞼がゆっくりと下がってきているのに気づいていたが「まぁいいか」とあらがう事はなかった。

体は洗ったし、あとは風呂を上がって寝るだけで面倒だった事もあったが、今日の疲れが大きかった。


昌は久しぶりに夢を見た。

夢の中で昌に父が話しかけてきた。

父の顔を見るのが久しぶりだった昌は、話をしたくなった。

昌にとって父は正しく尊敬できる大人の1人だった為、今回のおじさんの件を相談したが、父ははっきりと物を言う人ではなかったため、夢の中でも昌の相談にははっきりとしないあやふやな答え方をした。

「どうすればいいと思う?」

「馬鹿じゃね」

と笑っていなくなってしまった。

父は間違った事に対してはしっかりと否定したが何が正しいかは言わない人だったため、否定されなかったという事は少し面倒くさかったり非効率な方法でその問題に立ち向かっているのかも知れないが、間違ってはいない事がわかり、昌は少し肩が軽くなった気がした。

そこで夢の世界で解き放たれ目が覚めた。


目を覚ました昌がいたのは風呂場の浴室の中ではなく、自室のベットの上だった。

ゆっくりと体を起こすと、枕元にネイが立っていた。

「大丈夫?用があって部屋を訪ねたんだけど、お風呂に入っていたからしばらく待っていたの。でも、ずっと入っているから心配になって様子を覗くとのぼせてしまっていたのよ。だから体を拭いて服を着せてベットまで連れっていったんだから。大変だったのよ」

自分の体を見ると下着を着ていた。

それはつまり、ネイに裸を見られたという事だ。

恥ずかしくなって、顔を赤くした昌を見てネイは笑った。

「立派だったわよ」

そんなコメントは求めてないと、昌の顔は更に赤くなったが、お風呂でのぼせたせいにして、布団をかぶって寝てしまった。

ネイは昌の様子を枕元で見守り、眠りについたのを確認して昌の額にキスした。

「おやすみなさい。マスターは優しいわね、ありがとう。ごめんなさい」

と部屋を出て行った。

眠りがまだ浅かった昌は目が覚めてしまい、更に顔が赤くなってそこからしば

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