{第九十七話} 鍵のかかった部屋

塔には普通に歩いて行こうと思ったが、歩いて行くと国王の乗った馬車は塔からの狙撃範囲内に入ってしまうが、かといってテレポートも使えない。

どうした物かと考えた結果出た答えはここからの狙撃だ。

狙撃手であるネラをこの場に残し、オレとネイは塔の方へ向かった。


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国王を狙っている殺し屋を狙っているネラ。

ネラはミニメイドをスッポターにし、殺し屋の武器である弓を撃って破壊した。

ここで一安心と行かないのがこの世の中。

再度スコープで目標である殺し屋を覗くと、横から新しい弓を取り出し、こちらをめがけて矢を連射してきた。

急いでネラとミニメイドは壁の裏に隠れ、飛んできた矢を回避したが、これで殺し屋にネラ達の位置が割れて警戒され、狙撃による目標の撃破は不可能になったが、殺し屋の注意を引く事が出来ているため、昌達が動きやすくなったととも取れるだろう。


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一方、オレとネイは目的地の塔に到着していた。

ネラに殺し屋の気を引いてもらい、塔の階段を駆け上がっている裏でペックス議員達は中々国王を殺さない殺し屋に苛立ちを見せていた。

急いで階段を駆け上がるが先は長く、息が上がって来た。

改めてエレベーターやエスカレターに感謝にしなくては。

そしてネラは殺し屋との早撃ちに勝利し、二つ目の弓も破壊した。

ネラが放った弾丸は弓を破壊しただけではなく、そのまま弓を引いていた殺し屋の手をかすめた。

おもわず殺し屋が手を押さえたところひようやく昌とネイが到着した。

武器を構えたオレ達に気づいた殺し屋も片手で振り回せる程度の斧を構えた。

遠距離を暗殺手段として選んだ殺し屋だ、近接戦闘に持ち込めば有利に立ち回ることが出来るかもしれないと、近接戦闘に特化したネイが殺し屋に立ち向かってい行ったが、ネイの攻撃は軽くかわされたばかりか、反撃の一振りも放ってきた。

これはネイ一人では殺し屋を倒せそうに無いため、ネイの邪魔にならないよう少し離れた距離からの援護に回ろうと思っていたがオレも戦闘に参加する為、遠めから地味に殺し屋の邪魔をしようと構えていた銃をしまい、GOSで出した剣を構えて突っ込んだ。

実際に剣を交えることで分かる事もあり、確かに殺し屋は近接戦闘にも長けているらしく、身のこなしも軽く、斧を一振りが重い。

異世界に着てから敵はこんなヤツばかりで自分の身体能力を日々上げないといけないと思ったが三日坊主で終わりそうだ。

相手の大降りを上に大きくジャンプしてかわすと、殺し屋は一瞬で居なくなったオレを探して辺りを見回していたが、自分の頭上に居るオレに気づいた時はとても遅く、かわす間も無い殺し屋に対して剣を敵の肩から心臓にかけて体重と勢いの力技で突き刺した。

地面に倒れた殺し屋の死体はをどうしようかと考えていると、ネイが警戒態勢に入った。

殺し屋は自分の心拍停止すると自身の中心で大爆発を起こす自爆魔法を仕込んでいたらしい。

自爆からオレとネイが逃げる事は容易だが、ここは一般市民の居住区が近いためここで爆発すれは影響は計り知れない。

塔の屋上からオレとネイは飛び降りた。

そのまま地面に着地すると痛いと言うか、死んじゃうのでクリエイトで大きな高飛び等で使われるような大きく分厚いマットを出した。

その大きなマットに着地し、塔全体をGOSでドーム状に覆った。

そのお陰で爆発による周りへの被害はまったくなかった。

その他の被害としては着地地点がマットの端で、バウンドした結果地面に腰を打ったオレ位だろう。

まあパレードが平和に終わった代償がオレの腰だけだと思うと安い物だ。

殺し屋の死体を見ても特に心を乱すことなく、次はどうするかを考えてしまったオレの思考はこの世界に染まってきているらしい。

異世界に染まったオレの心は現世に帰ったら、現世の世界観に塗り直す事は出来るのか。

それとも、異世界や現世関係なく普通に生活できるのだろうか。

どちらにせよ異世界を体感する前のオレとは考え方が変わっているに違いない。

そんな事を考えつつ、ブルーキャッツに帰った。

店内にはソアリンとマスターのエイムが待っている。

ソアリンの元へ結果を報告しすると、何の前触れも無く話しを切り出した。

「君に伝えておくべき事がある。君のおじさん「京一」についてだ」

「どうしておじさんの事を?」

「君のおじさんは生きている」

どうやら今回の暗殺計画を阻止するの手助けとしてオレ達に接触したのはこの件を伝え、関係を構築するためだったようだ。


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薄暗い部屋に鍵を掛けられ、閉じ込められた人物が部屋の中央で両手をズボンのポケットに手を入れて立っている。

顔を上げ顔に光りが照らされ、その人物がおじさんである事が分かる。

服装や背丈等から、取調べを受けていた人物もおじさんである事も同時に判明した。

どうやらおじさんは何者かに捕らわれているようだ。


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数日前

おじさんは街中を歩いている。

特に目的も無く歩いているわけではなく、誰かを待ち合わせをしている様だ。

店の前に立って待っていた女性と一緒に店の中に入っていた。

店内に入って席に座り、グラスに入ったお酒を一口のんで、女性と話しを始めた。

しばらくするとおじさんは自分の体の違和感を覚えた。

体が思うように動かない。

これは「筋弛緩剤」のような物をさっき飲んだ酒の中に入っていたのかもしれない。

この状況は非常にマズい、気づけば男達に囲まれている。

この体では男達をなぎ倒してこの場から逃げ出す事は出来ない。

男達相手におじさんは無抵抗で布を口元に当てられて眠ってしまった。

男達は眠ったおじさんを店の裏口から担ぎ出し、店に火を放った。


おじさんが目を覚ますと、鍵のかかった部屋に置かれたベッドに寝ていた。

持っていた魔道具等はほとんど取り上げられていたが、メガネだけは掛けたままで持っていた。

メガネはあくまで装備アイテムに過ぎず、武器にはならないが、無いよりかはましだ。

ベッドから起き上がると、男が一人部屋に入って来た。

周りに居る人の対応を見るに地位の高い男のようだ。

「菊田京一、私の質問に答えてもらおう」

部屋の中央に置かれた机を挟んでおかれた椅子に座った。

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