{第八十五話} エキサイト

エルヴァーとの話しが終わると、オレ達は眩しい白い光に包まれ、気づくともといた平原に立っていた。

あれ?ネラが居ない?

よくよく考えると、神様に合う前から居なかったような気がする。

きっと、おじさんにお使いにでも行かされているのだろう。

さて戻ってきて早速だが、的に向かって銃を撃ってみるが普通に撃ててしまう。

すべてを覚えているわけではないが、ためしにいくつかの弾薬を使ってみたが、見た限りは普通にそれぞれ効果がある。

ここで、疑問に思うのが。いや、前から少し疑問に思っていたが、オレの固有スキルの中に「超記憶力」が入っていたはずなのだが、現にオレは今おじさんから習った弾薬の種類を一部しか覚えていない。

「超記憶力」に関しては元からあったオレの固有スキルであって、後から追加した物ではない。

取り合えずおじさんに聞いてみるか?

「おじさん、オレの固有スキルの「超記憶力」の件なんだけど」

おじさんにそう話しを切り出すと、待っていたかの様に用意していたらしい回答を答えた。

「その件か。俺も少し前だが、気になって色々調べてみたところエルヴァーがこんな事を言っていた「元々、この世界に何人も招く予定は無かった。一度に一人以上がこの世界に来たのは初めてで、想定外のアクシデントが起きてもおかしくはない。今回はそのアクシデントがたまたま「デフォルトで付いている固有スキルの効果が発動しない」と言うもので現れただけだ」とそうだ。ちなみに一つネラからの報告に気になるものがあってな。昌、お前は魔法が使えないらしい」

おじさんの話を聞いていると最後の一文に耳を疑うような内容が含まれていた。

魔法が使えない?

そんなバカな、森に魔法をためしに行った時は普通に使えていたぞ?

そんな疑問が頭の中で飛び回っているオレを察してか、おじさんは話を続けた。

「この世界に来て魔法を試しに森に行った時は普通に使えていたと今お前は思っているだろう。ネラが報告したのもその時だ。その時は取り合えずお前の様子から使用する魔法を予測し、ネラが魔法を使ってさもお前が魔法を出したように見せただけだ。それからも何度か見せかけていたみたいだ。ネラの報告から俺が考察した感じからするに、普通に魔法を使うことは出来ないが、何かを通せば魔法が使えるみたいだな。例えば、近距離戦闘で敵をぶん殴る時に普通に拳で殴るのは高ダメージが出せないから、自分の拳に攻撃力増加のバフを掛けようと思ったが、普通には魔法が使えない。そこで登場するのが「普通じゃない魔法の使い方」で、まずは自分の拳をGOSで覆う、そして次にその拳を覆ったGOSに攻撃力増加のバフを掛ければ、結果的に自分の拳に直接攻撃力増加のバフを掛けた時と同じ結果になる。他にも森でやった火の玉を出すと時も、手のひらにGOSを出して、そこから火の玉を出せばいい。つまり、普通に魔法が使えないと言ったが、GOSを使えば大抵はどうにかなる。GOSも薄く透明にして手袋状にして手にはめれば問題ない。GOSを使うっていうワンテンポが魔法を発動する時にフローチャート追加されるが、差ほど変わらないだろう。それに、普通に魔法を使うと魔王陣が出現するのが、GOSをはさんで魔法を使うと魔法陣が出現しない。何に使えるかは分からないが、覚えておいて損は無いと思う」

説明が長かったが簡単に言うとGOSを使えば問題解決って事だな。

試しに構えて手から魔法で火を出そうとするが一向に出る気配は無い。

次に、おじさんに言われた通りにGOSの板を一枚出すと、簡単に火が出た。

GOSはオレには必須アイテムらしい。

「GOSにはありとあらゆる魔法を使うことが出来る設計になっている、あとは使い方次第だな。ちなみに普通のそこらへんで手に入る武具は基本的に初期で設定された魔法しか使えないからな。例えば攻撃力増加のバフとかな。もちろん何も受け付けない武具もある」

さすが、おじさんが作っただけあるな。

一体おじさんはこの世界で何をしているんだろうか。

「さて、やる事はやったし。要件も済ませた。帝都に帰るか」

そう言うと、おじさんは魔法陣を地面に出した。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


宮殿にテレポートしたかと思ったら、なにやら見たこと無い場所に飛ばされた。

目の前にはレンガとコンクリートで作られた三階建ての建物がある。

窓が各階に一定間隔であり、屋根の一部には瓦が使われている。

しかし、この建物を見たことがあるぞ?しかも現世で。

「この建物は?」

「オレの貴族としての屋敷、デザインは現世のとある庁の別館をイメージしてたりする。あそこは結構ドラマの撮影とかで使われてるからな」

あ、やっぱり。

見たことがあると思えば、やっぱりそうだったのか。

スマホで現世のマップを開きストリートビューで確認するが、まったく一緒だ。

このデザインなら異世界的にもまったく違和感が無いな。

本館の方も昭和くらいなら建ってても違和感ないな。

「この辺に噴水みたいなの作れば?」

冗談で屋敷の目の前を指差す。

「いらねぇよ、夏場にマナーもモラルも無いやつらに足湯として使われるのが関の山だろ」

おっしゃる通りです。

まぁ、あれに関してはゲストが完全に悪いからな。

最近、あの国に行くゲストの民度の低下が著しいからな。

「さすがに、宮殿にいつまでも住まわせてもらうわけには行かないだろう?」

「せやな」

おじさんについて中に入り、一つの部屋に案内された。

結構広い部屋で、4LDK位ある。

4LDKと言った通り「リビング」「ダイニング」「キッチン」があり、トイレと風呂もある。

日本人にはありがたい八畳ある和室もあり、その和室には押入れと床の間がある。

バルコニーやベランダは無いらしい。

洗濯物は部屋干しになるのか。

電化製品も完備されており、冷蔵庫や洗濯機、テレビやエアコン等があり現世の暮らしと変わり無い生活が送れるだろう。

「京一様、頼まれた事はすべてお二人がエルヴァー様とお会いに会っている間に済ませておきました」

リビングに置かれたソファーに座って、冷蔵庫に入っていた麦茶をおじさんと飲んでいるとネラが入ってきた。

「頼まれていた事とは?」

「はい、まずは帝都に乗ってきた車をこの屋敷のガレージに入れて整備しておきました。次に宮殿の部屋に置いておいたマスターの服等をこの部屋に持ってきました。そして、この部屋の掃除です」

メイドらしい仕事もしているが、メイドの範疇を外れた仕事もしているような。

ネラのスペックは底知れないな。

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